ヘルマン・シェルヘンのベートーヴェン
ヘルマン・シェルヘン(Hermann Scherhen /1891-1966)はアクが強い指揮者だった。 彼のレパートリーはバロックから現代音楽までと幅広く特に「新ウィーン楽派」の音楽は得意としていた。 とりわけ古典派ではベートーヴェンの交響曲の演奏では1950年代にモノラルで「ウィーン国立歌劇場管弦楽団」や「ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団」と「ウエストミンスター」に録音した演奏と1965年に「ルガノ放送管弦楽団」と行ったステレオでの公開ライヴ録音では全く演奏スタイルが異なる。 「物の本」によればこの演奏は彼自身が頭で描くメトロノームでベートーヴェンの交響曲を振ってみたいということで実現したそうである。 公開コンサートは1965年1月から4月にかけてスイス、ルガノ放送局スタジオで行われた。 全体的に「第5番」を除きテンポが極端ともいえるほど速くシェルヘンの唸り声も収録され過激で荒れ狂うベートーヴェンに実に興味をそそった。 この全集盤は1990年代に色々なレーベルからリリースされたが写真は「銀座・山野楽器(YAMANO MUSICレーベル)」から1994年12月に限定発売されたCDボックスである(写真1 当時のシェルヘン「ベートーヴェン交響曲全集発売予告チラシ」山野楽器-1994年)/写真2 シェルヘン&ルガノ放送管「ベートーヴェン交響曲全集」YAMANO MUSIC-YMCD1013-17)。 また写真3は「イタリア・エルミタージュ・レーベル」より1992年にリリースされたこの同全集録音から「第5番」のリハーサル風景と本番を収録した1枚である。 スイスのルガノは「イタリア語圏」なのでシェルヘンが流暢なイタリア語で大声をはりあげリハーサルを行なっている。