ミシェル・オークレール(Vn)のヴィンテージ・ステレオ録音から

19歳で「第1回ロン=ティボ―国際コンクール、1943」で見事優勝を飾ったパリ生まれの世界的女流ヴァイオリニスト、ミシェル・オークレール (Michèle Auclair/1924~2005)がフィリップス・レーベルに遺したヴィンテージ・ステレオ録音を紹介したい。 彼女は1949年不慮の航空事故で夭折したジネット・ヌヴー(Ginette Neveu)以来の天才ヴァイオリニストと称された。 しかし左手の故障のため1960年代前半に演奏活動を退いたため彼女のレコード録音は放送・ライブ録音を含めても極めて少ない。紹介盤は彼女がフィリップス・レーベルに遺した全てのセッション(ステレオ録音)である。
録音年代順に(写真1)先ず1958年9月録音、ウィレム・ヴァン・オッテルロー&ウィーン交響楽団とのブラームス「ヴァイオリン協奏曲」は彼女の上品さが漂う演奏でしかもこの作品の唯一の録音となった。 紹介盤は2004年に廉価盤として限定リリースされたものである。
次に1961年12月録音、モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第4番・第5番」はマルセル・クーロー&シュトゥットガルト・フィルハーモニー管弦団との共演、このCDは1999年に廉価盤としてリリースされた。
最後(写真3)は紙ジャケット仕様24bit/96kHzリマスター盤1963年2月録音、ロベルト・ワーグナー&インスブルック交響楽団とのメンデルゾーン&チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」である。 ちなみにこのメンデルゾーンも彼女唯一の録音となった。 チャイコフスキーはクルト・ヴェスとのモノラル録音(米レミントン盤)もあるがやはりこちらのステレオ盤に軍配をあげたい。

写真1    CDジャケット、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」国内盤(フィリップス-UCCP-9559)

写真2    CDジャケット、モーツァルト「ヴァイオリン協奏曲第4番・第5番」国内盤(フィリップス PHCP 20419)

写真3    CD紙ジャケット仕様 、メンデルスゾーン&チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」国内盤(フィリップス UCCP 9518)