ムーティ指揮でベートーヴェン「フィデリオ」を観る
スカラ座、1999
ムーティ指揮でベートーヴェン「フィデリオ」を観る- 1999年12月14日、ミラノにて-
ヨセ・ファン・ダムの歌曲リサイタルの翌日、私はお目当てのリッカルド・ムーティ指揮のベートーヴェン歌劇「フィデリオ」を鑑賞するため再び「スカラ座」に足を運んだ。「スカラ座」のミレニアム・イヤー・シリーズ(2000年開幕シリーズ)は1999年12月7日にムーティのこの「フィデリオ」で開幕した。この時の模様は後にNHKFMでも放送されている。私が観た12月14日は公演の第4回目に当たり1月2日の千秋楽まで計9回の公演が行われた。その内2回(1999年12月30日・千秋楽2000年1月2日)はクロアチア出身のオペラ指揮者ニクサ・バレザ(Niksa Bareza)があたった。そこで当時のプログラム等々の資料を探したが肝心のプログラムをどこに仕舞い込んだのか見当たらなかった。そこで当時入手した写真の「1999/2000スカラ座・オペラ・コンサート・スケジュール・ブック」(写真 1・2)と公演終了後にもらった当日のポスター(写真3)を参考にしながら筆を進めていきたいと思う。
私が歌劇「フィデリオ」をヨーロッパで観るのはすでに「漫遊記9」で紹介済みの1977年9月「ベートーヴェン音楽祭」以来実に22年ぶりのことだった。この公演で注目した点はヴァルトラウト・マイヤー(Waltraud Meier)がレオノーレ(フィデリオ)を歌うことだった。彼女はどうしてもワーグナー「パルジファル」のクンドリーのイメージが強かった(写真4 1997年「ベルリン国立歌劇場来日公演時の彼女のサイン」。でもフタを開けてみると「レオーノーレ(フィデリオ)」の役もピタリとはまり全く違和感を感じなかった。さすがに世界のオペラハウスを駆け巡るプリマドンナである。大臣ドン・フェルナンド役にはデンマークの当時新鋭バス歌手ステファン・ミリング(Stephen Milling)、この人もどちらかと云えばワーグナー歌いでこの公演が「スカラ座」デビューとのことだった。フロレスタン役にアメリカ出身のテノール、トーマス・モーザー(Thomas Moser)等々、ワーグナー歌い揃い組キャストに驚いた。そのほかロッコ役のウィーン出身の名バス歌手クルト・リドル(Kurt Rydl)もワーグナーに定評がある。ニックネームも「メガ・バス(Mega Bass)」、何百ものレパ-トリーを持つバス歌手と云われまさにオペラ界の「千の顔を持つ男」である。演出はドイツの名演出家、映画監督でもあるウェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog)が担当、舞台監督には「漫遊記13」でも紹介したミラノ出身のエジオ・フリジェリオ(Ezio Frigerio)があたっていた。(写真5 オペラ・チケット)
(写真6 「スカラ・フィル来日公演時コンサート終了後、会場を出るムーティ(2002年9月)
(写真7 後で本棚から見つかったTeatro alla Scala 1999-2000 Fidelioプログラム)