メリク=パシャーエフの稀少録音から

アレクサンドル・メリク=パシャーエフ(Alexander Melik-Pashayev/1905~1964)という指揮者をご存じだろうか。 彼は帝政ロシア時代のグルジア(現、ジョージア)のトビリシ(Tbilisi)出身の旧ソヴィエト連邦人民芸術家でモスクワの「ボリショイ劇場」(写真1-1991年9月筆者撮影)の音楽監督を1953年から1963年まで務めオペラ指揮者として活躍した人である。 しかし彼はほぼ同世代の巨匠「エフゲニー・ムラヴィンスキー」の陰に隠れ日本ではほとんど目立たない存在だった。 レコード録音は当時の国営レーベル「メロディア」に「ボリショイ劇場」音楽監督時代に録音したロシア・オペラ作品が結構残されているが管弦楽曲作品は稀少だった。 とりわけ今回紹介するチャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴“」(1960年録音)、シューベルト「交響曲第7番”未完成“」(1962年録音-CDは旧番「第8番」表記)はモノラル録音だが録音状態も大変良好で彼の稀少な管弦楽曲録音の代表盤のひとつと思われる。 オーケストラはもちろん「ボリショイ劇場管弦楽団」である。 どちらもこの楽団が持つメリハリがきいた重厚なサウンドが印象的である。 ちなみにこの盤は新生「メロディア」レーベルから「アレクサンダ―・メリク=パシャーエフの遺産」として粋なデジパック仕様で2012年にリリースされた(写真2  デジパック仕様のCDジャケット / 写真3  CD演奏・録音データ)。

写真1    ボリショイ劇場(モスクワ)1991年9月筆者撮影

写真2    「アレクサンダー・メリク=パシャーエフの遺産」デジパック仕様CDジャケット(露メロディアMEL CD 10 02072)

写真3    CD演奏・録音データ(フランス語表記-左・ロシア語表記-右)