モンテヴェルディ  歌劇「ポッペアの戴冠」

マグダ・ラースロ、リチャード・ルイスほか
グラインドボーン音楽祭合唱
ジョン・プリッチャード指揮ロイヤル・フィル

グラインドボーン音楽祭音楽監督を1960年代~70年代にかけてと務めた英国の実力派指揮者ジョン・プリッチャード(John  Pritchard/1921~1989、写真1)のモンテヴェルディの歌劇「ポッペアの戴冠」も忘れ得ぬ1枚である。 モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi/1567~1643)はルネサンス音楽からバロック音楽の過渡期に活躍し数多くのオペラ作品を残したが「ポッペアの戴冠」が最後のオペラ作品となった。 ローマ皇帝-暴君ネロや皇妃の座を得るポッペアなど歴史上実在する人物が登場する歴史物語である。 しかし現存する手稿は歌唱と通奏低音部のみで演奏者により使用するいわゆる「版」が異なるところも興味深い。 ちなみにこのプリッチャード盤は「グラインドボーン・フェスティバル」における初演(1962年6月)に使用されたレイモンド・レッパード(Raymond Leppard/1927~2019)による編曲構成版である。 レッパードは英国出身の指揮者、チェンバロ奏者でこの録音でも第1チェンバロを担当している。 またタイトロールの「ポッペア」を歌うマグダ・ラースロ(Magda László)はハンガリー出身20世紀の世界的ソプラノ歌手、この録音も彼女の美声が聴きものである。 紹介盤は1965年に東芝エンジェルからリリースされたステレオ・セッション録音である (写真2 2LP BOX-東芝 AA 9105-~06/写真3 LPレーベル面)。

写真1 ジョン・プリッチャード(1969年ロンドン・フィル初来日公演プログラム冊子から)

 

写真2 「ポッペアの戴冠」2LP BOX(東芝AA 9105-06)1965年リリース盤

 

写真3 LPレーベル面