モーツアルトのレクイエムを聴く

ジャン=フランソワ・パイヤールの教会コンサート 、1973

 モーツアルトのレクイエムを聴く - 1973年3月、パリにて -

フランクフルトでイサカーゼのリサイタルを楽しみ、私は途中ブラッセルを経由してパリに向かった。パリでは5日間滞在しゆっくり中古レコード店巡りなど街中を歩きまわった。街のキオスクではパリのイベント情報誌「スペクタークル(l'offiel des spectacles)」(写真1)を買い求めコンサート情報を探した。すると3月16日(金)にジャン=フランソワ・パイヤール(Jean-François Paillard)が振るモーツアルト「レクイエム」の教会コンサートがあることを発見。21時開演と随分遅い時刻からのコンサートだったが会場が幸いホテルからさほど遠くなかったので行ってみることにした。会場はパリ1区、シャトレ座にほど近い「サン-ジェルマン ロセロワ教会(Eglise St. Germain l'Auxerrois)という15世紀に建立された由緒ある大きな寺院であった(写真2 パンフレット)。席は自由席で私が会場に着いた時は既に多くの聴衆で埋め尽くされ後方席になってしまった。オーケストラはジャン=フランソワ・パイヤール率いる「パイヤール室内管弦楽団」である。ソリストはコンサート・マスターのジェラール・ジャリ以外の名前はこの時初めて耳にする。演奏曲目はペルゴレージ:「コンツェルティーノ・アルモニコ第1番ト長調」、ヴィヴァルディ:4つのヴァイオリンのための協奏曲変ロ長調、休憩後にモーツアルト「レクイエム」(ジュスマイヤー版)が演奏された。想像した通り聖堂内のコンサートなので後方席まで残響が響き渡った。特に「レクイエム」では「響き」の間を取りながらゆっくりとしたテンポで演奏していたと思う(写真3、4、5 プログラム)。余談になるが最初に演奏されたペルゴレージの「コンツェルティーノ」(全6曲)は実際は彼の作品ではないとされている。コンサートが終了した時刻はゆうに11時をまわっていた。写真6は当日のコンサート・チケットだが料金は10フラン。当時のレートで約600円ぐらいか。

写真1 街のキオスクで買ったパリのイベント情報誌「スペクタークル」

写真2 シャトレ座にほど近い「サン-ジェルマン ロセロワ教会、15世紀建立」

写真3 教会コンサートプログラムの表紙

写真4 教会コンサートの曲目

写真5 教会コンサートの演奏者

写真6 教会コンサートチケット(600円ほど)