ヨゼフ・シゲティ(Vn)来日公演、1953
私の「コンサート資料コレクション」からヨゼフ・シゲティ(Vn) 客演 "東京交響楽団” 第52回定期公演(1953年3月8日・日比谷公会堂)
今回は私の音楽資料コレクションからハンガリーの名ヴァイオリニスト、ヨゼフ・シゲティ(Joseph Szigeti/1892-1973)が1953年3月「東京交響楽団第52回定期公演(指揮:上田仁)」に客演した公演プログラムを取り上げてみたいと思う(写真1 「東京交響楽団第52回定期公演プログラム」表紙/写真2 ヨゼフ・シゲティ、公演プログラムから)。因みにハンガリー語表記では「Szigeti József(シゲティ・ヨージェフ)」となるようだ。彼は戦前1931年6月に初来日、翌32年12月再来日し当時の「新交響楽団(現、N響)・指揮:近衛秀麿/日本青年館ホール」でベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲」等を演奏した記録が残っている(写真3 N響50年史から)。この「東京交響楽団」との共演時シゲティは61歳、しかもブラームスの協奏曲はベートーヴェンとならんで彼のオハコである。このコンサートの新聞評(写真4)から察すれば骨太の雄渾な演奏だったのだろう(写真5 第52回定期演奏曲目)。この公演ではブラームスの前にベートーヴェンの「エロイカ」も演奏されているが筆者も1960年代初頭、このコンビでの重厚な演奏を同「日比谷公会堂」で聴いた想い出がある。プログラムをめくっていくと最終ページに東響通信」という「東京交響楽団」の当時の近況活動と次期定期公演予定の知らせなどが掲載されている(写真6)。ここでは「東京交響楽団・事務所(当時)」の所在地への交通機関「省線」(下線部分)という表記がとても懐かしい。さらにプログラム裏表紙の来日記念盤宣伝に「来朝記念」という表現にも時代を感じさせる(写真7 公演プログラム裏表紙)。