ラドゥ・ルプー、ベートーヴェン・ピアノ協奏曲全曲演奏会を聴く、1980
〜1980年10月29日・30日、東京文化会館にて〜
ルーマニア出身のユニークな名ピアニスト、ラドゥ・ルプーの1980年10月来日公演フィナーレを飾ったベートーヴェン・ピアノ協奏曲全曲演奏会を振り返ってみたい。
彼は1966年の「ヴァン・クライバーンピアノ国際コンクール」、翌1967年「エネスク国際コンクール」また1969年イギリスの「リーズ国際ピアノコクール」でも見事に優勝し一躍世界的に脚光を浴びた。 この1980年の来日は1973年、1976年に次ぐ3度目の来日であった(写真1 1980年ラドゥ・ルプー来日公演プログラム表紙)。 この来日公演では各地でリサイタルを開催後、10月29日・30日の両日に渡るベートーヴェンのピアノ協奏曲全曲演奏会(東京文化会館)で締めくくった(写真2 公演日程/写真3 10/29・30開催のベートーヴェン・ピアノ協奏曲プログラム)。 管弦楽は「東京都交響楽団」、指揮は当時の首席指揮者モーシェ・アツモンである(写真4)。 ルプーはこの前年の1979年にはすでにメータ&イスラエル・フィルと英デッカにベートーヴェンのピアノ協奏曲全集録音を完了していた。 ルプーは1970年代だったと思うがロンドンの新聞に「千人に一人のリリシスト(抒情詩人)」と称賛されていたことも思い起した。 筆者が聴いたこの公演でも当時35歳の若きルプーの抒情性に富んだスケール感のあるベートーヴェンだったと記憶している。