リリース・クラウスの珍しいベートーヴェン「ピアノ協奏曲録音」から
ブダペスト出身、モーツアルトのスペシャリストとして知られたリリー・クラウス(Lili Kraus/1903~1986、写真1)はたびたび来日し日本のファンも多い。 彼女はベートーヴェンも得意としたが意外にもそのレコード録音の数は少ない。 今回紹介するベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番ハ短調」もオリジナル・ステレオ公式録音としては彼女の唯一のものではないだろうか(?) このレコード解説には録音年月の記載がないので不明だが1960年前後と推定される。 ちなみに写真のLPジャケットは米レーベル「モニター・コレクション・シリーズ(MONITOR COLLECTORS SERIES)」から1966年にリリースされたものである (写真2 LPジャケット、米MONITOR MCS 2092 / 写真3 LPレーベル面) 。 このMONITORレーベルはリヒテルやギレリスなど往年のロシア名演奏家録音も数多くあったと記憶している。 さてこのクラウスの演奏だが指揮のジャンフランコ・リヴォリ(Gianfranco Rivoli-1921~2005)が振るやや速めのテンポに乗りとても爽やかなベートーヴェンを聴かせている。 バックのアムステルダム・フィルハーモニック・ソサエティ管弦楽団(Amsterdam Philharmonic Society Orchestra)の実体は不明である。 また第二面にフィルアップされたベートーヴェンが当初「ピアノ協奏曲第2番変ロ長調」の第3楽章として意図した「ピアノと管弦楽のためのロンド」、ヴィクトル・デザルツェンス(Victor Desarzens/1908~1986)指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団による録音も貴重である。