ロストロポーヴィチ&フランス国立管「プロコフエフ交響曲全集」

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチは晩年のプロコフィエフ(写真1)と親交を持ちチェロ協奏曲第2番(交響的協奏曲、1952)を初演、作品も彼に献呈された。 ちなみに指揮はかのスヴャトスラフ・リヒテルだったそうでリヒテルが公のコンサートで棒を振ったのもこの演奏が唯一だったようだ。 今回取り上げるロストロポーヴィチ&フランス国立管弦楽団によるプロコフィエフ交響曲全集盤は1985年~1987年にかけてのパリでのセッションである (写真2 4CD BOX セット、仏エラート2292-45737-2) 。 この全集盤が注目されたひとつに当時としてはまだ珍しかった「第4番」の1930年版と改作1947年版の二つが収録されその違いも比較しながら聴けることだった。 初版は彼がアメリカ亡命時代にボストン交響楽団創立50周年記念委嘱作品として書き上げられセルゲイ・クーセヴィツキーの指揮で初演された。 作品には1928年作曲の舞踊音楽「放蕩息子」からの楽想転用も見られる。 しかし初稿版は期待していたほどの高評価が得られなかったためか祖国復帰後1947年にオーケストレーションも拡大した改訂版を新たに作品番号112として発表した。 現在通常コンサートで演奏される版はこの改訂版によるものが多い。 ロストロポーヴィチの力演で彼唯一の全集録音でもあった (写真3 「第4番」ジャケット/写真4 「第4番」録音・演奏データ)。

写真1    プロコフィエフ(ポスト・カード)

写真2    M. ロストロポーヴィチ&フランス国立管/プロコフィエフ交響曲全集、4CD(仏エラート-2292-4537-2)

写真3    同全集CD、交響曲第4番(1930年版・1947年改訂版のジャケット)

写真4    「第4番」録音・演奏データ