ヴァン・クライバーン来日公演を聴く、1996

〜1996年3月29日、NHKホールにて〜

アメリカ、ルイジアナ州出身のヴァン・クライバーン(Van Cliburn/1934-2013)は23歳の若さで1958年「第1回チャイコフスキー国際音楽コンクール(ピアノ部門)」で優勝、当時「時の人」となった(写真1  ヴァン・クライバーン、1996年来日公演プログラムから)。 彼の初来日はそれから8年後の1966年だったと思う。 筆者はその後1969年再来日時の協奏曲公演、岩城宏之指揮、NHK交響楽団をバックに彼が弾くベートーヴェン「第4番」とラフマニノフ「第2番」を聴いた(1969年6月17日、東京文化会館)。 しかし当時のプログラムなど資料がどこへ仕舞こんだか紛失したのか見当たらなかった。 彼はその後1970年代中ごろまで何回か来日しているが聴く機会がなかった。 それから特に消息もないまま20年余りの年月が過ぎ去ったある時彼の来日公演ニュースを聞いた。 筆者は長い充電期間を終えて彼がどんな演奏をするのか期待を持ってこの1996年3月の来日を待った。
1969年当時まだ35歳だった彼は還暦も過ぎその演奏スタイルにも注目し1996年3月29日のNHKホール公演に足を運んだ。 指揮は手塚幸紀、管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団である。 モーツアルト「フィガロの結婚」序曲に続き演奏されたベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番<皇帝>」は彼の十八番、期待を持って聴いたのだが彼の体調も不良だったのかピアノと管弦楽がうまく合わずもつれてしまったところもあり残念だった。 休憩を挟んで演奏されたチャイコフスキー、これは彼の十八番中の十八番、さすがこの作品で何とか彼の「面目躍如」は保ったが絶頂期の演奏とまではいかなかったようだ(写真2  1996年来日公演プログラム表紙/写真3  同、公演日程・演奏プログラム/写真4  3月29日公演チケット)。 写真5のCD「VAN CLIBURN IN MOSCOW」はロシアの「メロディア」から2009年にリリースされた「クライバーン生誕75周年記念スペシャル・エディション・5CDセット」で「1958年チャイコフスキー国際音楽コンクール」から1972年にかけて録音されたショパン、ブラームス、リストなどライヴ貴重音源を中心に収録されている。

写真1    ヴァン・クライバーン(Pf)(1996年来日公演プログラムから)

写真2    1996年 ヴァン・クライバーン(Pf) 来日公演プログラム表紙

写真3    1996年 ヴァン・クライバーン(Pf) 来日公演日程・演奏プログラム

写真4    ヴァン・クライバーン(Pf) 、手塚&東フィル 1996年3月29日公演チケット

写真5    VAN CLIBURN IN MOSCOW スペシャル・エディション5CDセット