作曲家としてのジャン・マルティノン

〜 作自演盤、交響曲第4番「至高」、1967年世界初録音〜

フランスの名匠ジャン・マルティノン(Jean Martinon/1910~1976)、写真1)の名盤についてはこれまでも数多く取り上げているが今回は作曲家としてのマルティノンにスポットをあててみたいと思う。 彼はパリ音楽院で作曲をヴァンサン・ダンディ(Vincent d’Indy)やアルベール・ルーセル(Albert Roussel)に学び交響曲をはじめ協奏曲、室内楽等々数多く書いているが今回紹介する最後の交響曲作品「第4番”至高”」は彼の最も知られた作品のひとつであろう。 この「第4番」は彼が音楽監督を務めたシカゴ交響楽団創立75周年に際し楽団からの依嘱作品でもある。 作品は1964年から65年にかけて書き上げられ全3楽章構成になっている。 演奏時間はおよそ30分弱、また各楽章には第1楽章「星への門(La Porte des étoiles)」第2楽章「垂直の園(Le Jardin vertical) 第3楽章「神々の交叉 (La traversée des  Dieux)」のタイトルが付されている。 副題の「至高(Altitudes)」につきレコード解説によれば登山を愛したマルティノンだが「具体的な標高を意味するものではなく抽象的な楽想の中にコダマするエコーに過ぎない」と述べている。 世界初演は自身が指揮するシカゴ交響楽団の演奏で1965年12月30日に行われている。 ちなみに日本初演は1970年11月24日日本フィル客演時に披露された。 LP二面に収録されたアメリカ、ペシルベニア州出身の作曲家ピーター・メニン(Peter Mennin/1923~1983)の単一楽章形式で書かれた「交響的変奏曲-交響曲第7番」も日本ではなかなか実演では聴く機会がない作品で貴重である。 紹介盤は1969年リリース国内初出盤でジャケットの銀文字で輝く「至高」に惹きつけられた (写真2 LPジャケット、日本ビクターSRA 2516)。

写真1    レコーディング中のジャン・マルティノン(LPジャケット掲載写真)

写真2    ジャン・マルティノン自作自演盤-交響曲第4番「至高」、国内盤初出ジャケット(ビクターSRA 2516) 1969年リリース