名指揮者オッテルローの珍しい「独グラモフォン」録音から
〜ビゼー「アルルの女&カルメン」組曲(1959年録音)〜
オランダの名匠「ウィレム・ヴァン・オッテルロー(Willem van Otterloo/1907~1978、写真1)はオランダ北海沿岸に位置するデン・ハーグ(Den Haag)を本拠に置くハーグ・レジデンティ管弦楽団(Residentie Orkest Den Haag)の首席指揮者を1949年からおよそ四半世紀に渡って務めた。 その間、筆者がまだ高校時代の1960年代半ばから読売日本交響楽団にたびたび客演、日本でも多くの人気を得て名誉指揮者の称号も贈られた。 彼はこのハーグ・レジデンティ時代にオランダ・フィリップスに数多くの録音を遺しているが今回紹介する「独グラモフォン」への録音は大変珍しくひょっとすると唯一の録音と思われる。 収録作品はビゼーの「アルルの女」・「カルメン」の組曲である。 1959年6月、アムステルダム・コンセルトヘボウにおけるセッションでオリジナル・ステレオ録音だが筆者のコレクション盤は1960年代初頭リリースのモノラル盤である(写真2 LPジャケット、独グラモフォンLPM 18787/写真3 LPレーベル面)。 現在ではもう忘れ去られた歴史的録音がなかなかの深みと味のある演奏が昔を思い起させてくれる。