名指揮者トーマス・シッパーズ&フィルハーモニア管弦楽団の名盤から

今回は米国出身の名指揮者、47歳の若さで病で亡くなったトーマス・シッパーズ(Thomas Schippers/1930~1977)が英EMIコロムビアに遺した貴重録音にスポットをあててみたい。 彼は20代の若さでニューヨークのメトロポリタン歌劇場をはじめオペラ指揮者として、1963年にはバイロイト音楽祭に「ニュルンベルクのマイスタージンガー」でデビューしている。 また1970年から亡くなるまでシンシナティ交響楽団の音楽監督として活躍した。
今回紹介する「プロコフィエフ交響曲第5番」と「チャイコフスキ―交響曲第4番」は彼がまだ27歳の1957年の録音、フィルハーモニア管弦楽団とのセッションである。 前者のプロコフィエフはモノラル・セッションだが若きシッパーズの堂々、溌剌とした指揮ぶりがうかがえる (写真1 プロコフィエフ交響曲第5番、米エンジェル初出LPジャケット、ANG.35527/写真2  LPレーベル面)。 また後者チャイコフスキー「第4番」はステレオ・セッションで行われたのだがLPはモノラル盤のみでのリリースだった。 今回紹介するCDは録音から半世紀以上が経過した2012年に英First Hand Recordsからオリジナル・ステレオ・リマスターで初リリースされたものである (写真3 「チャイコフスキー交響曲第4番」ほかCDジャケット英First Hand-FHR 16 )。 このCDにはこのほかシッパーズゆかりの「シンシナティ響」の音楽監督も務めた英国の名匠「ユージン・グーセンス(Eugene Goossens/1893~1962)のスクリャービン「夢想(Rêverie)」(フィルハーモニア管/1956年モノラル録音)とプロコフィエフ「交響曲第1番 」(プロ・アルテ管/1958年ステレオ録音)も初CD化されフィルアップされている(写真4 CD演奏・録音データ)。

写真1    トーマス・シッパーズ&フィルハーモニア管「プロコフィエフ交響曲第5番」(米エンジェル初出LPジャケット ANG.35527)

写真2    LPレーベル面

写真3    トーマス・シッパース&フィルハーモニア管「チャイコフスキー交響曲第4番」オリジナル・ステレオ・リマスターCDジャケット(英First Hand Records-FHR 16)

写真4    CD収録演奏・録音データ