小澤征爾&新日本フィル/アバド&ベルリン・フィルを聴く、1998
- 小澤とアバド来日公演で至福の境地、1998年10月18日 -
1998年10月18日は私にとってこの上ない至福の境地を味わった。この日は「日曜日」にもあたり偶然にも昼は小澤征爾指揮新日本フィルハーモニー交響楽団「第270回定期公演(15:00開演すみだトリフォニーホール)」、夜は来日中のクラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団公演(19時30分開演サントリーホール)と贅沢三昧の1日だった。少し大げさだがこの日の私は「心して」コンサート会場へ向かった。
先ず、「新日本フィルハーモニー交響楽団」の定期公演、当初は米国出身の人気ソプラノ歌手シルヴィア・マクネアが歌うR.シュトラウス「4つの最後の歌」、交響詩「英雄の生涯」のプログラムが組まれていたが事情により来日できなくなり急遽コントラルトのナタリー・シュトゥッツマン(Nathalie Stutzmann)が代演、プログラムもマーラー「亡き子をしのぶ歌」に変更された。また運が悪い時は重なるもので後半の「英雄の生涯」でヴァイオリン・ソロを担当す客員コンサートマスター、ステュアート・ケイニンも来日直前に左手小指負傷のため出演できず当時アシスタント・コンサートマスターだったチェムンスがソロを務めた(写真1 1998年10月「新日本フィル定期公演プログラム表紙」/写真2 第270回定期当初の演奏曲目/写真3 「プログラムに挿し込まれた出演者・曲目変更知らせ」)。
ナタリー・シュトゥッツマンはフランス出身の国際的コントラルト歌手、この当時からオペラ、リサイタル、レコーディング活動を通じて世界の一流指揮者たちから注目されていた。ドイツ・リートも得意とする彼女はマーラー歌曲でその真価を証明した。現在は指揮者としても活動している。後半の「英雄の生涯」は小澤のエネルギッシュな指揮ぶりが印象に残る劇的な演奏だった(写真4 小澤征爾のサイン)。
コンサート終了後、次の会場赤坂のサントリーホールに向かう(写真5 会場入口前の立て看板)。夜の公演、ベルリン・フィルのプログラムも重量感タップリ、前半がモーツアルト「フルートとハープのための協奏曲」休憩をはさみブルックナー「交響曲第5番(ノヴァーク版)」と聴きごたえ充分である(写真6 公演プログラム表紙)。前半モーツアルトのフルートのソロはエマニュエル・パユ、ハープはマリー=ピエール・ラングラメ、二人ともベルリン・フィルのソロ奏者であり1996年にこのメンバーで「EMI」に録音もしており息のあった演奏は「お見事」との一言。後半のブルックナーはやはり第2楽章「アダージョ」のベルリン・フィルの響きが特に美しく感じられ私は陶酔しきっていたと思う。コンサートが終了したのは午後10時近かったと思うが「至福の境地」を得た1日だった(写真7 プログラム演奏曲目/写真8 会場で配布された記念チケット・ホルダー/写真9 コンサート・チケット/写真10・11 コンサート前日サイン会でCDに入れてもらったアバドとピリスのサイン)。