忘れ得ぬ指揮者、クルト・ヴェス、1968

〜1968年7月20日、「東京フィル」第117回定期公演、東京文化会館にて〜

古い話になるが「日本交響楽団」から「NHK交響楽団」に改称されたのは1951年8月のことである。 その翌月の9月、オーストリア、リンツ出身で「ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団」の常任指揮者を務めていた当時38歳の若手指揮者クルト・ヴェス(Kurt Wöss/1914~1987)が「N響」の常任指揮者に就任した。3年間の在任期間中、「N響」に従来とは異なる優美なウィーン・スタイルの新風を注ぎ込んだと云われている。 その後もたびたび来日を重ね「東京フィルハーモニー交響楽団」、「日本フィルハーモニー交響楽団」等々に客演しお馴染みの指揮者となった(写真1  クルト・ヴェス<東京フィル第154回定期プログラム>から)。 彼はドイツ=オーストリア系の作品を得意とした指揮者で「東京フィル第204回定期(1978年11/17)」での「ブルックナー交響曲第4番」の演奏も心に残るが今回紹介する「ヨハン・シュトラウス・ファミリー」の音楽では彼のスタイリッシュな指揮ぶりを思い起す。 この「東京フィル第117回定期公演(1968年7月20日)」ではプログラム前半がシューベルト「ロザムンデ」序曲と交響曲<未完成>、後半が「ヨハン&ヨゼフ・シュトラウス作品」が演奏された。 とても気分爽快な演奏会だったことも付け加えておきたい(写真2  「東京フィル第117回定期公演プログラム表紙」/写真3  演奏曲目/写真4-公演チケット)。 写真5はヴェスが1972年9月4日東京文化会館における「日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会<ウィーン音楽の夕べ>」に客演した時のライヴ収録LP盤で「日本フィル」との熱演が味わえる1枚である。尚、このレコードは「日本フィル自主制作盤」で当時限定配布されたものだった。

写真1 クルト・ヴェス(東京フィル第154回定期公演(1972)プログラムから

写真2   東京フィル第117回定期公演プログラム表紙 (1968)

写真3   東京フィル第117回定期演奏曲目(1968)

写真4   東京フィル第117回定期公演チケット(1968年7月20日)

写真5   クルト・ヴェス&日本フィル<ウィーン音楽の夕べ」特別限定配布ライヴ盤LP(1972)