懐かしのTEE「ゴッタルド」の思い出、1980年9月
TEEとは「Trans-Europe Express」の略称で日本では「ヨーロッパ国際特急列車」として知られていた。 発足は今から半世紀以上前の1957年まで遡る。 昼間に走る特急列車で全て1等車のみの編成、また食堂車を連結する等々の一定の条件も必要とした。 今回取り上げるゴッタルド(Gottardo)がチューリッヒ⇔ ミラノ間にTEE電車特急として同区間を走るもうひとつのTEE「ティチーノ」(1974年廃止)と共に運行を開始した年は1961年であった。 ちなみに「TEE」は1970年代から80年代初頭にかけて全盛時代を迎えるがその役目を終えた1988年以降も「ユーロシティ」、「インターシティ」として運行を続け「ゴッタルド」の愛称名はその後も1997年から2002年までチューリッヒ⇔ ローマ間走る「ユーロナイト」にも引き継がれるという長い歴史を持っている。 愛称名の「ゴッタルド」とはスイスのアイロロ(Airolo)とゲシェネン(Göschenen)の間にある峠の名称である。 またバス等での冬季の「ゴッタルド峠」越えは1980年に「ゴッタルド道路トンネル」が開通する以前はバスを貨車に乗せ「鉄道トンネル」で峠越えをしていた時代が懐かしい(写真1 バスごと貨車に乗せて冬季のゴッタルド峠越え、1970年代、筆者撮影)。 またこの「ゴッタルド」がハナから電車特急としてデビューしたわけが標高2,000mを超える急勾配区間を気動車ではパワー不足だったことがうなづける。
乗り鉄の筆者は1980年9月、ミラノ中央駅からスイスの風光明媚なリゾート都市「ルガーノ」までこの「ゴッタルド」に乗車してみることにした。 乗車距離にしておよそ80Kmの短距離だったが快適な鉄道旅が楽しめた(写真2・3・4 発車を待つTEE「ゴッタルド」ミラノ中央駅、筆者撮影 / 写真5 1980年夏号-スイス国鉄時刻表・表紙 / 写真6 同、当時のミラノ⇨ルガーノ⇨チューリッヒ・北行「ゴッタルド」運行時刻表-赤枠)。 ルガーノまでの停車駅は北イタリアの避暑地コモに停車する。 そして筆者の目的地イタリア語圏のスイスの南端のリーゾト地、高台にあるルガーノ駅には定刻に到着した(写真7 ルガーノ駅、筆者撮影)。 余談になるがスイスは夏時間を採用していないためイタリア時間と1時間の時差が生じる。 スイスとイタリアにまたがる広大なルガーノ湖の美しい風景がとても印象に残っている(写真8 ルガーノ湖、筆者撮影)。