日本フィル時代の小澤征爾を聴く、1970
〜マーラー:交響曲第8番<千人の交響曲>、1970年6月17日、"日本フィル第203回定期公演"(東京文化会館)にて〜
今回は小澤征爾、日本フィル時代の筆者が最も印象に残るコンサートから一つ取り上げてみたい。 演奏曲目はマーラーの大作、「交響曲第8番<千人の交響曲>」である。この作品は大規模な管弦楽編成に独唱者が8名、大合唱団並びに児童合唱も要するためこの「日本フィル第203回定期」での演奏が国内通算3回目とのことだった。 プログラムのコラムによれば練習も「日本フィル」の練習所だけでは間に合わず「フジテレビ」のスタジオも借用したようである(写真1 「日本フィル第203回定期公演プログラム表紙」)。 筆者は東京文化会館の特等席にもあたる2階センター席で聴くことができステージ目一杯に配置されたオーケストラ・合唱団に早速圧倒された。 指揮の小澤征爾は当時35歳、そのエネルギッシュな指揮は絶好調、この春季はフィラデルイア管弦楽団、ウィーン・フィル、パリ管弦楽団、ベルリン・フィル等に客演し半年ぶりの帰国公演となり会場も超満員だった。 また独唱者の8人も当時の懐かしい名前がズラリと並ぶ。 合唱も「日本プロ合唱団連合」をはじめそのレベルは大変高い(写真2 「日本フィル第203回定期演奏曲目・出演者」/写真3 公演プログラム出演者写真・紹介)。 筆者もこの作品の生演奏に接するのは今回がもちろん初めてであった。 "小澤熱"で会場の興奮度も頂点に達し演奏時間の約80分余りがアットいう間に過ぎ去ってしまった。 とにかく印象に残る凄いコンサートだったことは間違いない(写真4 「日本フィル第203回定期公演チケット」)。