日本ポピュラー・レコード史/ アメリカン・ポップス・カバー時代(1)
今回より日本のポピュラー・レコード「アメリカン・ポップス・カバー時代」を振り返ってみたい。
よく「ポップス黄金時代」とも語り継がれる1950年代末から’60年代初頭にかけ日本のポピュラー・レコードは「アメリカン・ポップス」カバー・バージョン時代を迎えていた。 この当時、新宿、銀座、渋谷、池袋などにあった「洋楽」ライヴをやる店を一般的に「ジャズ喫茶」と呼んでいたがまだ当時小・中学生の筆者には足を運べなかった。 また当時の出演者たちを振り返ると坂本九、ダニー飯田とパラダイス・キング、平尾昌晃、ミッキー・カーチスなどなど懐かしい顔が並ぶ。
そんな時代の思い出のシングル盤を先ず坂本九とダニー飯田とパラダイス・キングから紹介していきたいと思う。 写真1は1960年(昭和35年)10月に発売された「ビキニ・スタイルのお嬢さん」、原題は”Itsy Bitsy Teenie Weenie Yellow Polka-Dot Bikini”と少々長いがB面には「ステキなタイミング」(原題Good Timin’)がカップリングされた1枚である。 当時まだ19歳の九ちゃんが独特の笑顔でテレビのショー番組で大活躍し始めたころの時代であった。 先の東芝レコード・デビュー盤「悲しき60才」・「恋のホームタウン」に続く2枚目のシングルで「ダニー飯田とパラダイスキング」との息もピッタリである(写真2 同シングル「ビキニ・スタイルのお譲さん」盤面)/ 写真3 「ステキなタイミング」盤面)。
因みにオリジナルは「ビキニ・スタイル」がブライアン・ハイランド(Brian Hyland)、「グッド・タイミング」はジミー・ジョーンズ(JimmyJones)が歌った(写真4 ジミー・ジョーンズ「Good Timin’」1970年代再プレス国内盤ジャケット、MGMレコード、ポリドールDMQ-6917 / 写真5 同「Good Timin’」レコード・レーベル面)。
続いて「モデル・ガール(Model Girl)」は九ちゃんの超ヒット曲「上を向いて歩こう」と発売が相前後したためその陰に隠れてしまった感があったが曲は九ちゃんにピッタリの歌だった。 オリジナルはニューヨーク、ブルックリン出身の元「ザ・クレスツ(The Crests)」のヴォーカル「ジョニー・マエストロ(Johnny Maestro)」が歌っていた。 B面の「16個の角砂糖」(原題Sixteen Cubes of Sugar)はパラキンの佐野修が歌った。 オリジナルは先の「ビキニ・スタイル」と同様にブライアン・ハイランドのヒット曲であった(写真6 「モデル・ガール」・「16個の角砂糖」シングル・ジャケット、東芝JP-5077 / 写真7 同・「モデル・ガール」盤面)。
(つづく)