旧EMIアナログ優秀録音の名盤から

今回は旧EMIアナログ優秀録音の名盤から筆者愛聴LP2枚を紹介したいと思う。 いずれも管弦楽は「ロンドン交響楽団」、ヴァイオリン・ソロは1965年よりこの楽団のコンサート・マスターを務めたジョン・ジョージアディス(JohnGeorgiadis)である。
先ず1枚目のLPはサー・ジョン・バルビローリ(Sir John Barbirolli)の最晩年の録音で彼のラスト・レコーディングとなったR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」である。 この録音は1969年9月、彼の「ロイヤル・フェスティバルホール」でのコンサートの合間をぬって行われている。 演奏時間50分を超えるゆっくりとしたテンポで進めていく演奏が聴き手にズッシリと響く名演である。 またこのLPはジャケットに貼り付けられたシール、当時「東芝レコード」が誇る「PTSクリアーサウンド」という音響技術も注目されたことも懐かしく思い起される。 クラシック音楽ファンにとっては1970年の「ニュー・フィルハーモニア管弦楽団」との彼の初来日が大いに期待されたが来日直前の訃報で「幻」に消えた(写真1  バルビローリ&ロンドン響「英雄の生涯」国内盤LPジャケット、東芝音工AA8723)。
続く2枚目はロシアの巨匠「エフゲニー・スヴェトラーノフ(YevgenySvetlanov)」が当時珍しく西側で録音したうちの1枚、リムスキー=コルサコフ交響組曲「シェエラザード」である。 彼はこの作品をすでに手兵、当時の「ソヴィエト国立響」と1969年「メロディア」に録音していたがこちらの1978年の「ロンドン響盤」はそのスケール感、完成度の高さがさらに上をいく名演と云っても過言ではないだろう。 ジョン・ジョージアディスのソロ・ヴァイオリンの響きも見事である(写真2  スヴェトラーノフ&ロンドン響「シェエラザード」LPジャケット英EMI ASD-3779) ちなみにジャケット・デザインにはフランスのイラストレーター「ポール・イリベ(Paul Iribe)」が描いた「シェエラザード」が用いられている。

写真1    サー・ジョン・バルビローリ&ロンドン響/「英雄の生涯」国内盤EMI LPジャット(東芝音工-AA-8723)

写真2    エフゲニ・・スヴェトラーノフ&ロンドン響/「シェエラザード」英EMI LPジャケット(ASD-3779)