私の欧州鉄道時刻表コレクションから
鉄道旅行を楽しむためには国内外を問わず「時刻表」は便利なものである。 日本では毎月の時刻表が発行され書店等々で求めることが簡単にできるが外国となると昔は意外に簡単とはいかないことがあった。 現在では駅の案内所に無料のパンフレット方式の時刻表が置いてあることも多くまた直接乗車したい時間帯の列車を尋ねればコンピューターで適当な列車を打ち出してくれる。
今回は筆者が1970年代から80年代にかけてヨーロッパ各国で入手した懐かしい鉄道時刻表コレクションから紹介してみたい。 先ずヨーロッパの鉄道時刻表は原則として春・夏シーズンと秋・冬シーズンの二期に分けて発行されるのが一般的である。 まれに街の書店でも見つけることがあるが普通は駅の案内所か売店(キオスク)で求めることが手っ取り早い。 しかし東欧の社会主義圏諸国での入手は当時困難だった。 東側諸国ではそもそもこの当時、一般的に構内や列車の写真撮影も禁止されており時刻表も「機密事項」のひとつだったのだろうか? 今回は本棚から取り出したイギリス・スペイン・フランス・ベルギー・フィンランド・ドイツ・スイス・オーストリア・イタリアの時刻表を集めてみた。
1)イギリス 写真1 ABC Rail Guide 1979。 写真は1979年11月号の「ABC鉄道時刻表」で全736ページにおよびイギリス全土の鉄道時刻表が網羅されている。 当時は日本と同様毎月発行されていたようだ。 価格は当時1ポンド25、日本円で当時のレートで600円程度だったと思う。
2)スペイン 写真2 スペイン国鉄-オラリオ・ギア(HORARIO GUIA、ヨーロッパ国際版1980年12月)。 この時刻表は表紙のイラストの通り鉄道・航空・バス・船の小型総合時刻表である。
3)フランス 写真3 「CHAIX(シェイクス)」の北フランス地域時刻表(1972年-73年冬・春版)。 写真4は フランス国鉄公式時刻表(1978-79冬・春総合版)/ 写真5 同、南東部地域版(1979年冬版)。 「CHAIX」はフランスを5つの地域にわけて発行していた。 写真3は北フランス地域時刻表で筆者が最初にヨーロッパで購入した時刻表である。因みに「CHAIX」の時刻表は1976年に廃刊となった。
4)ベルギー 写真6 ベルギー国鉄・国内版時刻表(1979-80年版) / 写真7 同、ヨーロッパ国際版時刻表(1980年夏版)。 ベルギーの時刻表は表紙のモダンなデザインが印象的である。
5)フィンランド 写真8 Suomen Kulkuneuvot (1985年夏版)。 フィンランドの時刻表はフィンランド語表記「Suomen Kulkuneuvot(フィンランド交通案内)」の下にスウェーデン語「Finlands Kommunikationner」でも表記され鉄道のほかバス、航空、航路等の総合案内時刻表になっている。
6)ドイツ 写真9 ドイツ国鉄国内総合鉄道時刻表(1977年-78年冬季版)/ 写真10 同・フランクフルト周辺地域ポケット版時刻表(1975年-76年冬季版)) / ドイツ国鉄の総合時刻表(KURSBUCH GESAMTAUSGABE)。 写真9はページ数にして1400ページを超え重さも1Kg以上あり携帯には向かない。 そのため写真10のような各大都市周辺を中心としたポケット版時刻表も発行していた。
7)スイス 写真11 スイス国鉄総合鉄道時刻表(1975年-76年冬季版)/ (写真12 同、ポケット版時刻表(1979年-80年冬季版)。 スイスは多言語国家のためドイツ語・フランス語・イタリア語の3ヵ国表記である。 こちらも総合版は分厚いため写真12のようなポケット版も発行されている。
8)オーストリア 写真13 Fahrpläne(鉄道時刻表・国内用1979年-80年冬季版)/ 写真14同、国際用(1986年-87年冬季版)。 オーストリア国鉄は国内用(Inland)・国際用(Ausland)の二版が発行されていた。
9)イタリア 写真15 イタリア国鉄全国版時刻表(小型版)-「POZZORARIO GENERALE」(1973年冬季版)/ 写真16 同、北イタリアを中心とした小型総合版時刻表(1979年春夏版)。 写真15はローマ・テルミニ駅で求めた「イタリア国鉄監修」の小型版総合時刻表、写真16はミラノ中央駅で求めた「北イタリア」の路線が詳細に掲載された同じく小型総合版である。 因みに「POZZO」とはトリノにある出版社の名称である。時刻表の表紙がホテルの広告で埋め尽くされている。