貴志康一「交響曲”仏陀”」、小松一彦 指揮サクトペテルブルク交響楽団

貴志康一(きしこういち/1909~1937、写真1)は28歳で夭折した戦前に活躍した関西出身のヴァイオリニスト、作曲家、指揮者である。 彼はティンエージャーで渡欧、ベルリンでハンガリーの名ヴァイオリニスト:カール・フレッシュに学び日独を往復しながらベルリン・フィルの指揮台に立つなど活躍した。 今回紹介する「交響曲”仏陀”」は自身の指揮で「ベルリン・フィル」を振り初演(1934年)している。 今回の紹介盤はこの作品の日本初演者で「貴志康一」のスペシャリストとして知られた小松一彦(1947~2013)が1994年4月ロシア初演を行ったサンクトペテルブルク交響楽団とのライブ録音である。 ちなみに彼はこのほかに実に3つのライブ録音/「関西フィルハーモニー管弦楽団」 1984年日本初演ライブ、「東京都交響楽団」東京初演ライブ、「大阪フィルハーモニー交響楽団」2009年貴志康一生誕100年記念コンサート・ライブを残している。 この交響曲は当初7楽章構成の標題交響曲として構想されたが最終的には「全4楽章」構成となったようである。 また各楽章に付された標題は初演の段階で削除された。 尚、このCDにはかっこ書きで各楽章標題も付されている。 後期ロマン派的風情を持った作品で「第3楽章-ヴィヴァーチェ」はデュカスの交響詩「魔法使いの弟子」を彷彿させる (写真2 CDジャケット、ビクターVICC-155 、1994年リリース/写真3 CD演奏・録音データ)。

写真1    貴志康一(CD解説ブックレットから)

写真2    CDジャケット、貴志康一/ 交響曲「仏陀」ほか小松一彦&サンクトペテルブルク響(ビクターVICC 155)

写真3    CD演奏録音データ