長時間収録クラシックLPレコードについて(1)

筆者がまだ小学生だった1950年代に17cm 16回転盤というLPレコードが存在した。 このLPは自家用車でレコード音楽を楽しむためアメリカで制作された超長時間収録盤(片面約45分収録可能)であったがその後間もなくして様々な問題、特に音質面で不評をかい姿を消した。今回はその後1960年代末頃から1970年代初頭にかけて廉価盤を中心に数多く発売されたクラシックの超長時間収録LPを集めて紹介してみたい。
先ず筆者が最初にビックリした長時間収録レコードはレギュラー盤だがエドゥアルト・ヴァン・ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団によるブラームス交響曲第1番・第4番が1枚に収められたものだった(写真1  国内盤フィリップスSFX7532-1958年ステレオ録音)。 収録時間が第1番が約42分、第4番が約39分で合わせて80分を超えるLP盤で確か1968年前後の発売だったと思う。 その後千円盤の長時間収録廉価盤が続々と登場し中でも1970年秋に「キングレコード」から発売された「世界の名曲1000シリーズ」には超長時間収録盤が数多く含まれていた。 今日はこのシリーズから現在も筆者が愛聴する次の3枚を紹介したい。
シリーズ盤のトップはウィリアム・スタインバーグ指揮ピッツバーグ交響楽団によるベートーヴ「交響曲第5番&第6番」のカップリングであった(写真2-GT1001-1965年米Commandステレオ録音)。  演奏時間は第5番が約33分、第6番「田園」が約42分で収録時間合わせて75分、音質も大変良好でまたスタインバーグは「第5番」第4楽章前半の反復、「第6番」第1楽章の反復も丁寧に実行している。
次にベートーヴェン「英雄」とチャイコフスキー「悲愴」のカップリングはこのシリーズ最長収録盤である(写真3  GT1002-米VANGUARD-STEROLAB録音)。 レコード第1面「英雄」はエードリアン・ボールト指揮ロンドン・プロムナード・フィルハーモニックによる演奏、演奏時間約47分、第2面「悲愴」はウラディミール・ゴルシュマン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団の演奏で演奏時間約42分、計89分のまさに超長時間収録レコードだった。 しかし詰め込み過ぎの割には聴きやすい音質が不思議に感じた1枚だった。
最後はこれはなかなかの名演、フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるブラームス「交響曲第1番」(演奏時間約48分)とアルトゥール・グルーバー指揮ボロニスラフ・ギンペル(ヴァイオリン)、ベルリン交響楽団の演奏によるブラームス「ヴァイオリン協奏曲」(演奏時間約40分)の組み合わせでこれも収録時間88分と超お徳用盤だった(写真4-GT1005独Eurodisc録音)。 当時学生の筆者にとってはこれらの超長時間収録の廉価盤には大変重宝したことを思い出している。
(つづく)

写真1    ベイヌム&コンセルトヘボウ管 / ブラームス交響曲第1番・第4番

写真2    W.スタインバーグ&ピッツバーグ響 / ベートーヴェン交響曲第5番・第6番

写真3    ボールト&ロンドン・プロムナード・フィルハーモニック「英雄」・ゴルシュマン&ウィーン国立歌劇場管「悲愴」

写真4    コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管 / ブラームス交響曲第1番・グルーバー、ギンペル(Vn)&ベルリン響 / ヴァイオリン協奏曲