1961年10月9日の ”東京交響楽団”定期公演にタイムスリップ
回顧趣味の筆者はCDコレクションのライブ盤から東京交響楽団の1961年10月9日定期公演にタイムスリップした。 会場はこの年、春にオープンした新宿5丁目にあった東京厚生年金会館、今回紹介する2枚のライブ盤に収録された作品は伊福部 昭「ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」 (ピアノ:金井 裕)、ウィルヘルム・ケンプを迎えてのブラームス「ピアノ協奏曲第1番ニ短調」である。 指揮は当時の常任指揮者「上田 仁(うえだ まさし)」、筆者は中学・高校時代に彼が指揮するコンサートに生で接することができたことが懐かしい。 どちらの音源もラジオ東京(現TBS)に保管されていたモノラル録音の貴重音源だがとりわけ前者の「伊福部 昭」音源は2013年偶然TBSの倉庫から発見され2014年彼の生誕100年記念の年に初CD化されたものである。 しかも初演の初稿版で聴けることも大変貴重であった (写真1 「伊福部 昭」ほか”TBS VINTAGECLASSICS”CDジャケット・ユニバーサルTYCE-60014) 。 CDにはこのほか片岡良和「抜頭によるコンポジション」 (1961年11月1日厚生年金会館ライブ)、石井 歓「シンフォニア・アイヌ」(1959年9月28日日比谷公会堂ライブ)も収録されている。 放送時の解説が収録されており録音状態も大変良好である(写真2 同CD-演奏・録音データ)。
またプログラム後半に演奏されたケンプによるブラームス「ピアノ協奏曲第1番」は1996年に「東京交響楽団創立50周年記念盤」として初CD化された1枚、同じく上田 仁指揮による演奏で1956年12月6日日比谷公会堂におけるサンソン・フランソワ客演によるリスト「ピアノ協奏曲第1番」も収録されている。 ケンプ当時66歳、軽快なテンポで弾くブラームスに興味を引いた(写真3 「フランソワ&ケンプ」世紀の巨匠ライブ・シリーズCDジャケット、東芝EMI-TOCE 8860 /写真4 同CD演奏・録音データ)。