セルジュ・フルニエ & 東京都交響楽団 定期・特別公演から、1971
〜1971年10月22日、東京文化会館にて(第36回定期公演)〜
〜1971年11月10日、日比谷公会堂にて(特別演奏会)〜
今回は1970年代の「東京都交響楽団」の懐かしい定期演奏会・特別演奏会からフランス出身のセルジュ・フルニエが振ったコンサートにスポットを当ててみたいと思う。 公演プログラムによればこの指揮者は「パリ音楽院」を卒業後、2年間の軍隊生活を経て1960年にマドレーヌ・ルノーとジャン・ルイ・バローが主宰する「テアトル・ド・フランス(Le Théâtre de France)」からの要請でピエール・ブーレーズの後継として常任指揮者を務めた経歴を持つ。 その後彼はシャルル・ミュンシュの招きによりアメリカに渡る。 タングルウッドの「バークシャー・ミュージックセンター」で研鑽を積み「クーセヴィツキー記念指揮者賞」も受賞している。 さらにレナード・バーンスタインが彼の才能を高く評価、「ニューヨーク・フィルハーモニック」からも副指揮者として招かれている。
この1971年初来日当時彼は40歳を迎えたところで指揮者としては新進気鋭であった。 先ず東京文化会館での10月22日の定期公演は全てフランスもので固められた。 いきなりベルリオーズ「幻想交響曲」で始まりエネルギッシュな指揮ぶりは良かったのだが少々張り切り過ぎで空回りした点は否めなかった。 プログラムには引き続き遠藤郁子が弾くサン=サンースの「ピアノ協奏曲第2番」が演奏されるよう表記されていたがコンサートはここで休憩をはさみサン=サンースとラヴェルの「ダフニスとクロエ」(第2組曲)が演奏された(写真1 都響第36回定期公演プログラム表紙/写真2 同、演奏曲目)。 写真3はコンサート終了後にプログラムに入れてもらったサインである。
続く「特別演奏会」は月をまたぎ11月10日、日比谷公会堂でソリストにヴァイオリンの江藤俊哉を迎え開催された(写真4 特別演奏会プログラム表紙)。 プログラムはベルリオーズの序曲「海賊」、ラロ「スペイン交響曲」休憩後にチャイコフスキー「交響曲第6番<悲愴>」が演奏された(写真5 特別演奏会演奏曲目)。
全体を通じて彼の指揮ぶりは特にアクもなくむしろオーソドックス・スタイルなところがむしろ良かったのではないかと思っている。