M.ギーレンのスクリャービン「交響曲第3番」
ミヒャエル・ギーレン(Michael Gielen /1927~2019)はブルックナー、マーラーなど後期ロマン派音楽はもとより現代音楽まで得意とする懐の深い指揮者だった。
今回紹介するCD、神秘主義的作品を展開したスクリャービンの「交響曲第3番」も個人的に好きな演奏である。 この交響曲は3つの楽章から構成され各楽章にはフランス語でそれぞれ「闘争(Luttes)」・「快楽(Voluptés)」・「神聖な遊び(Jeu divin)」のタイトルが付され「神聖な詩(Le divin poème)」という副題で知られている。 演奏時間もおよそ50分弱を要する大曲で3つ楽章がアタッカで繋がれ切れ目なく演奏される。 このCDの演奏、当時「南西ドイツ放送交響楽団」(後にバーデン=バーデン・フライブルクSWR交響楽団に改称)との録音はギーレンらしい鋭角的な切り込みに圧倒される。 ただスヴェトラーノフが指揮した「ソヴィエト国立交響楽団」(1968年録音)などを聴くとギーレンは終楽章のコーダ部分の休止和音を2つカットし繋げて演奏しているところも興味深い。 またこのCDにはブゾ―ニ「悲しい子守歌(Berceuse élégiaque)」(1995年録音)ラヴェル「海原の小舟(Une barque sur l’océan)」(1997年録音)ストラヴィンスキー「ロシア風スケルツオ(Scherzo à la Russe)」(1998年録音)も収録されている。 ちなみに録音場所は前者2曲がバーデン=バーデンの「ハンス・ロスバウト、スタジオ」後者ストラヴィンスキーはフライブルクの「コンツェルト・ハウス」になっている.(写真1 CDジャケット、独ヘンスラーCD 93. 059、 2002年リリース / 写真2 CD各曲演奏時間等データ / 写真3 CDレーベル面)。