RCA高音質LP、「リマスター・ポイント5シリーズ」から、1983年
今回は前回の「ステレオ・ラボラトリー・シリーズ」に続いて1983年末に限定盤でリリースされた高音質LP「RCA高音質LP、「リマスターポイント5(ファイブ)シリーズ」を取り上げてみたい。 1982年秋、話題の「CD」が商品化され街のレコード店の片隅に並び始めた頃の話である。 当時の「CD」価格は1枚3800円前後と「LP」に比べ高価だった。 筆者自身もまだこの当時はCDよりLPレコードの方に関心がありこのシリーズも結構買い求めた。 この高音質LPは米RCAが誇る1950年代から60年代初頭にかけての巨匠たちの名盤ステレオ録音から厳選されリマスター化された。「ポイント5(=0.5)」とはつまりハーフ・スピードでカッティングされたLPである。 従って旧盤と比較してより低ノイズでダイナミック・レンジも幅を増しスッキリとクリアーな音質でレコード再生を楽しむことができた。 ちなみに写真1はフリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団によるレスピーギの交響詩ローマの松」から「アッピア街道の松」コーダ部分をスペクトラム・アナライザーにより比較した画像である(LP解説書から)。 この画像からもあきらかに旧盤と新盤(当盤)の違いが明瞭である。 このシリーズからは特に筆者が気に入っている次の(写真2~6)の5点を紹介したい。
- (写真2) リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」(1954年3月録音)フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 RCL-5516)。 まさに1954年ステレオ最初期の録音だがとても当時の音とは想像できないほど素晴らしい音質にビックリした1枚。
- (写真3) サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調「オルガン」(1959年4月録音)ベルイ・ザムコヒアン(オルガン)シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(RCL-5504)。 この録音もステレオ初期の代表盤の1枚。重厚なオルガンの音が印象的に美しく鳴り響く。
- (写真4) レスピーギ:交響詩「ローマの松」・「ローマの噴水」(1959年10月録音)フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 (RCL-5509)。 「ローマの松」-「アッピア街道の松」終結部は圧巻である。
- (写真5) リムスキー・コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」(1960年2月録音)シドニー・ハース(ヴァイオリン・ソロ)フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 (RCL-5507)。 先のメータ&ロス・フィルでもソロ・ヴァイオリンを弾いたシドニー・ハースのソロが美しく響く。 ライナー唯一の「シェエラザード」の録音だった。
- (写真6) フランク:交響曲ニ短調(1961年1月録音)ピエール・モントゥー指揮シカゴ交響楽団(RCL-5505)。 モントゥーが得意とするフランク交響曲ニ短調、ちなみにモントゥーのシカゴ交響楽団との録音はこの1枚のみとされる。 録音バランスも素晴らしくメリハリがきいたキレのある演奏である。