「私の昭和歌謡レコード史」(8)
今回は「ハスキー・ボイス」が魅力的な1960年代の歌姫「西田佐知子」の懐かしのシングル盤から取り上げてみたいと思う。 彼女は1950年代のSP盤時代から活躍していたが1960年(昭和35年)春に発売されたシングル「アカシアの雨がやむとき」で大ブレーク、時は「60年安保闘争」の時代であった。 歌詞からも当時の世相を彷彿させる。 彼女の代表曲であることは間違いない(写真1 「アカシアの雨がやむとき」シングル・ジャケット、ポリドールDJ-1062 モノラル / 写真2 同・レーベル面)。 これは余談だが初回プレス盤のジャケット表記には彼女の本名「西田佐智子」となっていたそうだが筆者が1962年に求めたこの盤では芸名の「西田佐知子」に修正されている。
次に注目を浴びたシングルは翌1961年リリースの「コーヒー・ルンバ」だったと思う。 この曲はベネズエラ出身のアルパ(ハープ)奏者ウーゴ・ブランコ(Hugo Blanco)の演奏で世界的ヒットした作品である。 原曲名は「モリエンド・カフェ(Moliendo Café)」日本語では「コーヒーを挽きながら」という意味だそうだ。 また作曲はブランコの叔父にあたる「ホセ・マンツォ・ペローニ(Jose Manzo Perroni)」という人である。 彼女のカバー・シングル・オリジナル盤は「欲望のブルース」のB面として収録されヒットした。
私のコレクション盤は初出から20年後に擬似ステレオ化されたシングル盤で1963年に大ヒットした「エリカの花が散るとき」をカップリングしたものである(写真3 「コーヒー・ルンバ」擬似ステレオ・シングル盤ジャケット、ポリドール7DX1063 1981年 / 写真4 同・レーベル面)。 写真5は「エリカの花が散るとき」初出盤シングル・ジャケット(DJ-1288 モノラル)で1963年リリース当初、この曲もB面収録だったことに驚いた(写真6 レーベルB面収録)。
(つづく)