ウィリアム・スタインバーグの魅力
1952年よりおよそ四半世紀に渡り米国の「ピッツバーグ交響楽団」の音楽監督、1969年から1972年までは「ボストン交響楽団」音楽監督も兼務したウィリアム・スタインバーグ(William Steinberg/1899~1978)の魅力は古典派から現代作品に至るまで幅広いレパートリーをそつなく理想的にこなしてしまうところにあったと云われている。 彼はドイツのケルン出身でケルン音楽院で指揮をヘルマン・アーベントロートに師事し特にドイツ音楽に定評を得た指揮者だった。 1973年4月大阪国際フェスティバル参加のためピッツバーグ交響楽団と共に初来日、筆者も東京公演に足を運んだ(写真1 W.スタインバーグ&ピッツバーグ響/東京公演チラシ、1973年) 。 しかしこれが最初で最後の来日になったと思う。 彼の録音は2011年に1950年代の「EMI録音」(モノラル&ステレオ録音)を集大成20CDBOXセットでリリースされベートーヴェンをはじめブラームス、ブルックナー、マーラー等々の重厚な演奏を聴くことができた (写真2 W.スタインバーグ・EMIコンプリート・レコーディング20CD BOX)。 一方ボストン交響楽団との録音では独グラモフォンのホルスト組曲「惑星」(写真3 独グラモフォンLP 2530 102、1970年録音)と R.シュトラウス交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(写真4 独グラモフォン LP 2530 160、1971年録音)が録音も優秀でエネルギッシュで壮大な演奏との定評がある。