カラヤン&ベルリン・フィル来日公演、1973
"NHKホール落成記念"1973年カラヤン&ベルリン・フィル来日公演
1973年(昭和48年)6月、渋谷に新たにオープンした「NHKホール落成記念」公演として実現した「ヘルベルト・フォン・カラヤン&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」東京公演前売りチケットは異例の「抽選方式」が採用された(写真1 チケット前売り案内リーフレット表紙・公演日程/写真2 チケット前売り要領等(抜粋))。当時、カラヤンは人気絶頂期で発売時の混乱を避けるため「抽選・整理券」の方法がとられたようである。なにしろ全公演を通じ一人一通のみという制限もあり抽選に当たるか否か心配だったが幸運にも当選、公演2日目の「ブルックナー交響曲第7番」を聴くことができた(写真3 10月26日公演チケット)。ただ整理券にはチケット購入時間帯もあらかじめ設定され結構遅い時間帯に当たってしまったため3階席になってしまったことは仕方なかった。
当日のプログラムはバッハ「ブランデンブルグ協奏曲第1番ヘ長調」休憩後にお目当てのブルックナー「交響曲第7番ホ長調」が演奏された(写真4 演奏曲目)。なお前半の「ブランデンブルク協奏曲」のチェンバロは小林道夫も助演した。期待どおり生で聴くカラヤンのブルックナーは凄かった。ベルリン・フィルからブルックナーの響きの宇宙を最大限に美しく引き出した透明感ある演奏を今も忘れることができない。
当時の東京でのコンサートは「NHKFM」(関東・甲信越各局のみステレオ)で全公演を生中継されている。またテレビ放映は私が聴いた10月26日の公演と翌27日公演が後日録画でカラヤンのテレビ放送では初めてカラー映像で総合テレビで放送されている(ただし音声はモノラル)。これは当「ゲヴァントハウス」の特別講演イベントに3度お越しいただき昨年逝去された「NHKメディアテクノロジー」の辻本廉(つじもと きよし)氏から直接伺った話だが当時の放送映像は放送終了後にカラヤン側に返却されたとのことである(写真5 1973年公演プログラム表紙)。