ガリー・ベルティーニ&ケルン放送響来日公演を聴く、1994
~1994年12月1日、新宿文化センターにて~
ガリー・ベルティーニ(Gary Bertini/1927-2005)はマーラー指揮者としてのイメージが強かったが他方で得意としていたベルリオーズやチャイコフスキーなどもいつか聴いてみたいと思っていた。今回紹介する1994年の「ケルン放送交響楽団」との来日公演ではロシア、フランスものを中心に組まれた多彩なプログラムに筆者の興味を誘った。なかでもチラシの「(財)新宿文化振興会」主催公演ではベルリオーズ「幻想交響曲」とチャイコフスキー「交響曲第5番」の聴きごたえある2作品がプログラムに組まれしかも低料金(S席=5,000円)でのコンサートが大変魅力的であった(写真1 公演チラシ)。ベルティーニは「幻想交響曲」をこの前年(1993年)にこのコンビで「独カプリッチョ・レーベル」に録音もしており期待を持って聴いてみたが予想した通りじっくりとしたテンポとスケール感が伝わり深い趣きを感じるベルリオーズだった。ベルリオーズが活躍した時代、本国のフランスよりもむしろドイツで人気があったというエピソードも頷ける気がした。また休憩後のチャイコフスキー「交響曲第5番」では特に終楽章の金管の鮮烈な響きが印象的であった(写真2 当日配布された「新宿文化センター公演」プログラム表紙/写真3 演奏曲目/写真4 1994年来日公演総合プログラム表紙/写真5 新宿文化センター公演チケット)。尚、チャイコフスキー「第5番」については筆者は未聴だが1980年録音の「バンベルク交響楽団」との貴重な録音が残されているようだ。