シモ―ネ・ヤングのブルックナー
オーストラリア、シドニー出身の「シモーネ・ヤング」、世界の主要歌劇場で活躍しオペラ指揮者としても名声がある彼女がおよそ9年の歳月をかけ2015年に完結したハンブルク・フィルとのブルックナー交響曲全集録音はそのスケール感ならびに初稿版も積極的に取り上げた全集盤としても大変注目された。 筆者が彼女の指揮するブルックナーの交響曲を生で初めて耳にしたのは一昨年(2018年)7月の新日本フィルに客演した際の第4番”ロマンティック (1874年初稿版)による演奏だった(写真1 当時の演奏プログラム)。 今回は彼女の全集録音から第2番 (2006年3月ライブ録音)と第8」(2008年12月ライブ録音)にスポットを当ててみたいと思う。
先ず第2番ハ短調の録音で彼女が使用した版はアメリカの音楽学者、ブルックナー研究家のウィリアム・キャラガンによる1990年校訂(2005年出版)の1872年初稿版による演奏である。 もっともこの版による録音は校訂直後の1991年に録音され1873年稿と共にクルト・アイヒホルン&リンツ・ブルックナー交響楽団とのCDがリリースされており両盤との聴き比べもまた興味深い。 次に第8番ハ短調も1887年版の「ノヴァーク版第1稿」による演奏、現在ではコンサートで取り上げられる機会も増え馴染みも深くなったが彼女の粋でスタイリッシュな演奏に一段と惹きつけられた(写真 第2番CDジャケット独OEHMS-OC614/写真 -同・演奏データ/写真4 第8番CDジャケット-国内盤BMG JAPAN-BVCC10005-6(2CD)/写真5 同、演奏データ)。 尚、ジャケットのヤングのサインは2018年7月「新日本フィル」客演時に入れてもらったものである。