シャルル・デュトワ&N響、オネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルクを聴く」、1996
〜1996年12月5日、N響1308回定期公演、NHKホールにて〜
当時「モントリオール交響楽団」と「フランス国立管弦楽団」の音楽監督を兼務していたシャルル・デュトワが「NHK交響楽団」の常任指揮者に就任したのは1996年のことだった。 そして就任披露公演の12月定期「Aプロ」にはオネゲルの劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク("Jeanne d'Arc au bûcher"Oratorio dramatique")」が演奏され大変な注目を浴びた(写真1 N響-オネゲル「火刑台のジャンヌ・ダルク」公演チラシ(1996)/写真2 同チラシ裏面)。 この作品はフランスの劇作家、詩人、外交官で駐日大使も務めたポール・クローデルの台本により15世紀のフランスの軍人で国民的ヒロイン、「ジャンヌ・ダルク」をテーマにして作曲されたオネゲルの傑作である。 この公演は演奏会形式ではなく高島 勲、ヘニング・フォン・ギールケの本格的演出によるステージであったことは視覚的にも素晴らしかった。 公演の前に行われた指揮者デュトワがフランス語で語るプレ・トーク、「デュトワが語るジャンヌの世界」も興味深かった。 この作品は「語り役」も重要な役目でのジャンヌ・ダルクを演じたカナダの女優・演出家のジュリー・ヴァンサン、修道士ドミニクを演じた俳優、ギー・プロヴォの演技力も印象的だった。 作品はプロローグに始まり11のシーンから構成されるが時系列が繋がってないので当時のフランス中世の背景をある程度頭に入れて置いた方が理解しやすいかも知れない(写真3 N響フィルハーモニー1996年12月表紙/写真4 第1308回定期「火刑台上のジャンヌ・ダルク」出演者)。 写真5(2003年9月筆者撮影)はフランス北部ルーアンの中心部にある「ジャンヌ・ダルク教会」、ジャンヌ・ダルクはこの教会前の「ヴィユ・マルシェ広場」(写真6)で1431年5月30日に19歳で火刑に処せられた。 写真7は筆者の愛聴盤CD、小澤征爾&フランス国立管弦楽団他による1989年6月、パリ近郊のサンドゥニ大聖堂で行われた「火刑台上のジャンヌ・ダルク」CDジャケットである(1989年サンドゥニ・フェスティバル、フランス革命200年記念公演ライヴ盤)。