ディヌ・リッパティ伝説の歴史的コンサート・ライブ盤、1950

今回はルーマニア出身の20世紀伝説の名ピアニストであるディヌ・リパッティ(Dinu Lipatti/1917~1950)の歴史的コンサート・ライブ盤を取り上げてみたい。
これは彼が病で亡くなるおよそ10ヶ月前1950年2月22日にスイス・ロマンド管弦楽団の本拠地ヴィクトリア・ホールで行われたコンサート・ライブ (放送用モノラル録音)である。 演奏曲目は彼が得意としたシューマン「ピアノ協奏曲イ短調」、指揮は音楽監督「エルネスト・アンセルメ」であった。 ちなみにこの音源テープが発見されたのはコンサートから20年が経過した1970年のことである。 そして英デッカから初レコード化されたのが1974年、紹介するLPはその国内盤である (写真1  LPジャケット、キング・ロンドンSLC-6097/写真2 LPレーベル面)。 LPの解説によれば当時のリパッティの病状は悪化しコンサート前夜には高熱にうなされていたと云われている。 しかし医師の措置により翌朝には奇跡的に平熱に戻り予定どおり無事コンサートが開催されたとのことである。 演奏は全く重病を感じさせず聴衆は息を呑み透明感溢れる美しさに心酔したという。 LPには楽章間の会場の雰囲気、演奏後の拍手もタップリと収められている。 尚、第二面には同じくアンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の1959年ステレオ・セッションによるシューマンのピアノ作品「謝肉祭」のグラズノフほかによる管弦楽版が収録されている。

写真1     「ディヌ・リパッティ」伝説の歴史的コンサート・ライブ盤」国内盤LPジャケット(キング・ロンドンSLC 6097) 1974年リリース

写真2     LPレーベル面