ドホナーニ&クリーヴランド管弦楽団のヴェーベルン「夏風の中で」
今回はシェーンベルク、ベルクと並び「新ウィーン楽派」と呼ばれるアントン・ヴェーベルン(Anton von Webern/1883~1945 、写真1)、最初期の管弦楽曲作品「夏風の中で(Im Sommerwind)」を紹介したいと思う。 この作品はヴェーベルンがまだ「ウィーン大学」在学中1904年に作曲した後期ロマン派の影響も色濃くでた作品である。 題材はドイツの作家ブルーノ・ヴィッレ(Bruno Wille)の詩に基づいている。 副題には「大管弦楽のための牧歌(Idyll für großes Orchester)」と記されている。 演奏時間約15分前後の小品だが副題にあるように牧歌的でどことなく神秘的な響きに魅了される。 しかし作品はヴェーベルン生前には演奏されることはなく1961年に遺稿として発見され世界初演は翌1962年ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団によりシアトルで行われた。 今回スポットをあてるCDはクリストフ・フォン・ドホナーニ(Christoph von Dohnányi)&クリーヴランド管弦楽団による演奏でマーラー「交響曲第6番”悲劇的”」にシェーンベルク「5つの管弦楽曲」と共にフィルアップされた1991年の録音である。 ドホナーニ初のヴェーベルン録音でもある。 ちなみにマーラーの「第6番」は1993年度交響曲部門の日本レコード・アカデミー賞に輝いている (写真2 CDジャケット、デッカ独盤2CD-436 240-2 /写真3 演奏データ)。 尚、ジャケットのドホナーニのサインは1998年5月来日の際に入れてもらったものである。