ハンス・スワロフスキー&N響を聴く、1973
~第611回NHK交響楽団定期公演、1973年10月17日 NHKホールにて~
「NHK交響楽団」はこの年1973年10月から定期演奏会の会場を従来の「東京文化会館」から新しく開館した渋谷の「NHKホール」に移した。その最初の10月定期の指揮台に立ったのがハンガリー出身ウィーンの長老指揮者ハンス・スワロフスキー(Hans Swarowsky/1899-1975)(写真1)だった。彼は指揮活動とともに後進の育成にも力を注いだことでよく知られている。因みにクラウディオ・アバドやズービン・メータも彼の門下である。筆者は学生時代に彼の「米ウラニア盤」のチャイコフスキー「交響曲第1番<冬の日の幻想>」によく針を下ろしていた(写真2 スワロフスキー「冬の日の幻想」/「米URANIA盤LP」ジャケット)。ジャケットには管弦楽が「Vienna Philharmusica Symphony」と記載されているがどうやらその実体は「ウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーン・フィル)」のことらしい。1960年代初頭に録音されたステレオ盤でアクもなくサッパリとした演奏が聴きやすい。
さてN響定期に「一期一会」の客演指揮者として登場したスワロフスキーは当時74歳、「A」「B」「C」の3つのチクルスを振り「A」チクルス第610回定期(10/11・12)はピアノのイエルク・デムスとパウル・パドゥラ=スコダも客演、モーツアルトの「2台のためのピアノ協奏曲」を演奏、また「C」チクルス第612回定期(10/20)はアレクシス・ワイセンベルクが登場、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」を弾いている。筆者は「Bチクルス」の初日10月17日のプログラム、モーツアルト「交響曲第31番<パリ>」・R.シュトラウス「ドン・ファン」・ベートーヴェン「交響曲第3番<英雄>」を聴く(写真3 「N響フィルハーモニー」1973年10月表紙)。当時はこの「フィルハーモニー」に写真の「プログラム・カード」が挿入されていた(写真4-プログラム・カード- Bチクルス)。「Bチクルス」も彼が得意とするプログラム構成でソツが無いいわゆる正統派スタイルの演奏が印象に残った。写真5は10/17公演チケットである。