フランス語で語るカラヤン、ドキュメンタリーCD
今回は「フランス国立放送局」制作のラジオ番組からカラヤンが流暢なフランス語で語る2つの番組を収めた貴重なドキュメンタリーCDを取り上げてみたい。
これはカラヤン生誕100年にあたる2008年、「フランス国立視聴覚研究所(L’Institut National deAudiovisuel)」の保存記録音源からCD化されたものである(写真1 「Karajan en V.F.」(カラヤン-フランス語で語る)。 CDジャケットデジパック仕様オーストリア盤IMV079モノラル録音/写真2 同CD添付解説書・表紙写真)。 このCDはフランスの2つの番組から編集収録されている。 前半は1977年の”Radioscopie”という番組(直訳すれば「X線透視」ということになるだろうか)から評論家ジャック・シャンセル(Jacques Chancel)とカラヤンとの会談である。 ここでカラヤンは「ベルリン・フィル」の音楽監督の視点からこの楽団のこと、映像制作や教育財団とのコラボレーション、アーティストに対する自身の構想、人生哲学等々をおよそ40分あまりに渡り熱く語っている。 後半は時代が遡り1964年に収録された女性プロデュ―サー「ミシュリーヌ・バンゼ(Micheline Banzet)」のカラヤンとの対話である。 この番組は「Trois jours avec …」―「3日間の・・・と共に」で当時彼女はカラヤンをはじめヴァイオリニストのクリスチャン・フェラスなど偉大なアーティストたちとインタビュ―に臨んだそうである。 当時カラヤンは「ベルリン・フィル」と最初のステレオによる「ブラームス交響曲全集録音」を完結しておりここでは「交響曲第1番・第2番」を自身がピアノを弾き各楽章を分析しながら聴きどころを語っている。 こちらも大変興味深いものがある。 収録時間はおよそ35分である(写真3 CD収録データ)。 ところでインタビュアーの「バンゼ」はマリア・カラス没後30年にあたる2007年には「マリア・カラスとのインタビュー」という本も出版している。