ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」のカンデンツァ
〜 16のカンデンツァが聴けるユニークなCD〜
今回は先日「漫遊記435」で紹介したヒストリカルな弦楽器奏者の演奏が注目された英国のCDレーベル「Biddulph(ビッダルフ)」からもう1枚取り上げてみたい。 それはタイトルの通り「16のカデンツァが聴けるユニークなCD」である。 作品はブラームスの「ヴァイオリン協奏曲」、演奏は19世紀のヨーロッパの伝統的演奏様式を受け継いだイタリア系米国出身の名匠「ルイジェーロ・リッチ(Ruggiero Ricchi /1918-2012)」、指揮はかつて「BBCプロムス」の常連でもあった「ノーマン・デル・マー(Norman del Mar /1919-1994)」管弦楽は録音を専門とするオーケストラ「シンフォニア・オブ・ロンドン(Sinfonia of London)」となっている(写真1 CDジャケット、Biddulph-LAW002 1991年リリース)。
このCDで「リッチ」が弾く「第1楽章」のカデンツァはいきなりめったに聴くことがないいきなりティンパニーが打ちおろされる「フェルッチョ・ブゾーニ」版で始まる。 そして別トラック順にヨゼフ・ヨアヒム、エドムント・シンゲル、フーゴ・ヘールマン、レオポルド・アウアー、ウジェーヌ・イザイ等々(写真2 CD演奏データと収録されたトラック別カデンツァ)リッチ自作版も含めて16種類である。 CDプレーヤー機能で聴きたいそれぞれのカデンツァを入れ替えれば気分に応じて楽しむことができる。 ちなみにこの録音は「リッチ」が73歳の1991年にロンドンで行われている。