ブルックナー、ゆかりの地を訪ねて
リンツ~ザンクト・フロリアン~アンスフェルデン、1996
ブルックナー、ゆかりの地を訪ねて- 1996年1月3日 -
前回の続編である。カラヤンの墓詣でからザルツブルク市内に戻った私は宿泊ホテルで時刻表(写真1 オーストリア国鉄時刻表1995/96)を眺めながら明日の予定を組み立てた。当初はダイレクトにウィーンへ戻るつもりだったが降り続いた雪も一段落したようなので前回の訪問から9年ぶりにブルックナーのふるさとに寄り道することにした。そこで選んだ列車は少々朝が早いがザルツブルク中央駅午前7時発のスーパー・シティー(SC)「ウィナー・フィルハーモニカー」に乗車することにした。この列車はウィーン西駅行き特急列車でザルツブルクからリンツまでノン・ストップ、1時間余りで走る。朝が早いのでサンドイッチのボックス・ブレックファーストを前日に依頼しておいた。列車は定刻通りまだ暗いザルツブルク中央駅3aホームに滑り込んできた。(写真2 3aホーム列車案内表示板/写真3 列車名Wiener Philharmonikerと行先表示サボ・筆者撮影)列車は定刻通りにリンツ中央駅に午前8時07分に到着した。(写真4 リンツ中央駅に到着した「Wiener Philharmoniker」筆者撮影) ここから先は「勝手知ったる何とか」、駅前でタクシーの値段交渉。幸いにしてタクシードライバーの方もブルックナー・ファンで話がはずんだ。ブルックナーのゆかりの地、聖フローリアン修道院・アンスフェルデンのブルックナー生家、帰りにブルックナーとは直接関係はないがドナウ左岸の山頂に建つペストリンクベルク教会に立ち寄って日本円に換算して約1万円でOKとのことでお願いすることにした。ペストリンクベルクには登山電車も走っているのだが生憎今回は雪道なので山頂の教会までタクシーで走ってもらうことになった。まずリンツ中央駅から南へ約20kmに位置する聖フローリアン修道院(写真5 雪に覆われた修道院/筆者撮影)は若きブルックナーがオルガン、ヴァイオリン、音楽理論等々を学びここの聖歌隊のオルガニストも務めていたことでも知られている。(写真6 聖フローリアン大聖堂内部/筆者撮影)また聖堂の地下にはブルックナーの棺が安置されている(写真7 聖堂地下に安置されたブルックナーの棺/筆者撮影)。地下には管理人が在勤中であれば受付で見学を申し出れば可能であった。また写真の左上に写っているのは殉教者たちの「しゃれこうべ」である。帰りがけ修道院ギフト・ショップでブルックナー研究で著名なレオポルト・ノヴァーク著「ブルックナー音楽と生涯(Bruckner,Musik und Leben)」(写真8)を購入、豊富な写真と貴重な資料写真が魅力的であった。次にここから林道を4〜5km走ったところにブルックナーの生まれ故郷アンスフェルデンの村がある。彼の生家(写真9 筆者撮影)、現在はブルックナー資料館として一般公開されているがこの日は残念ながら閉館していた。ブルックナー生家に隣接してアンスフェルデンの教会(写真10/筆者撮影)が建っている。リンツへの帰途、予定通りペストリンクベルクの教会(写真11・12 聖堂内部/筆者撮影)に立ち寄った。この教会は18世紀のバロック様式建築でこの日は一帯が雪景色、これもまた風情があってよかった。予定通り昼前にリンツ中央駅に戻ってきた。この後、カフェで簡単なランチを取り久しぶりのリンツをゆっくり歩いて散策。夕食も済ませてリンツ中央駅発20時39分発ユーロ・シティ-(Euro City)“マリア・テレジア”(Maria Theresia) (写真13 列車停車駅時刻案内リーフレット)に乗車、22時30分定刻通りウィーン西駅に無事到着した。