“ミュンシュ&日本フィル”の「第9」を聴く
“ミュンシュ&日本フィル”の「第9」を聴く - 1962年12月、東京・日比谷公会堂 –
フランスの巨匠シャルル・ミュンシュ(Charles Munch/1891-1968)が単身で来日し「日本フィルハーモニー交響楽団」の指揮台に立ったのは1962年12月のことだった。前回1960年5月の「ボストン交響楽団」との来日公演(写真1 ミュンシュ&ボストン響初来日公演プログラム表紙)につぐ日本訪問であった。当時の公演スケジュールを振り返ると定期公演2回(12/15・20)と、私も会場に足を運んだ年末のベートーヴェン「第9」特別公演(3回)であった。しかし12月15日定期公演直前にミュンシュが急病のため急遽スケージュール変更を余儀なくされ15日の定期を「第9」公演終了後の28日に延期される事態になるハプニングもあった。しかもこの日はミュンシュの帰国日と重なり一時は公演中止の危機もあったがなんとか開演時刻を繰り上げるなどのやりくりで無事公演は終了した。
さて話を本題に戻し「第9」公演は予定通り25日・26日・27日の3日間午後6時30開演で日比谷公会堂で行われた(写真2 公演プログラム表紙・写真3-公演日程)。私は初日25日の公演を鑑賞した(写真4 ミュンシュ紹介ページ)。独唱者は当時活躍中のソプラノ:蒲生能扶子、アルト:小野邦代、テノール:森敏孝、バス:岡村喬生、それに合唱に東京混声合唱団と二期会合唱団が加わった(写真5 出演者) 。ミュンシュは予想どおり全体的にやや速めのテンポをとり特に第2楽章が速かった。またティンパニーのアクセントのつけかたがとても印象的だったことを覚えている。因みに最終日27日の演奏は公演からおよそ四半世紀が経過した1986年12月に「学研」からCD化されたが(写真6 学研CD初出盤・32GD174947・カペレ不滅のライヴ・シリーズ)発売直後に訳ありで発売中止になった経緯がある。今となってはまさに「幻のCD」となった。その後この公演から半世紀あまりが経過した2013年にはなんでもサブマスター音源で「オタケンレコード」から再CD化されている(写真7)。因みに私は未聴である。
最後にミュンシュ&日本フィルのこの「一期一会」の当時の一連のコンサートと関係するCD並びに映像(DVD)について整理しておきたい。
◆第54回日本フィル定期:1962年12月15日 → 12月28日に延期(東京文化会館)
ベルリオーズ:「幻想交響曲」
CD:「オクタヴィア・レコード(EXTON)-(OVCL00599ステレオ)リハーサル風景付き(写真8)
DVD: EXTON・OVBC-00016 (音声ステレオ)(写真9)
ラヴェル:ピアノ協奏曲、ニコール・アンリオ=シュヴァイツアー(Pf)
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
CD:PLATZ-P23G-541(ステレオ/廃盤)(写真10)
◆第55回日本フィル定期:1962年12月20日
ルーセル:「バッカスとアリアーヌ」第2組曲
CD: PLATZ・P23G-541(ステレオ) (写真10/廃盤)
リスト:ピアノ協奏曲第1番/ニコール・アンリオ=シュヴァイツアー(Pf)
DVD:EXTON・OVBC-00017(音声モノラル)(写真11)
ブラームス:交響曲第1番
CD: EXTON・OVCL-00597 (ステレオ)(写真12)
DVD:EXTON・OVBC-00017(音声ステレオ)(写真11)
◆日本フィル特別演奏会 「第9」公演1962年12月25日・26日・27日(日比谷公会堂)
ブラームス:「ハイドンの主題による変奏曲」
CD: PLATZ・P23G-541 (12月25日公演/ステレオ) (写真10/廃盤)
EXTON・OVCL-00597(12月27日公演/ステレオ)(写真12)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱つき」
CD:学研-32GD 174947 (12月27日公演/ステレオ)(写真6/廃盤)
OTAKEN RECORDS-TKC349(12月27日公演/ステレオ)(写真7)
以上となるが現在すでに生産中止または廃盤になっている盤もあると思われる。