ミラノ "スカラ座” 創建200年記念思い出話、1978年
1978年はミラノ「スカラ座」(Teatro alla Scala)の創建200年あたる記念の年だった(写真1 スカラ座、1979年夏、筆者撮影)。 イタリア新古典主義様式の建築家ジュゼッペ・ピエルマリーニ(Giuseppe Piermarini)による設計である。 当時、平土間には座席はなく観客は立ったままオペラを鑑賞したそうである。 因みに筆者も何度か利用した安価な最上階の天井桟敷席へは正面口とは別に脇にある階段を利用する。
記念の年1978年スカラ座の新シーズン開幕も伝統にならい前年の12月7日の「ミラノの守護聖人の日(聖人アンブロジウスの日)」に開幕した。 この200年記念の開幕演目は当時の音楽監督クラウディオ・アバド指揮によるヴェルディの「ドン・カルロ」で幕が開いた。 しかもこの上演は通常の4幕版ではなく5幕イタリア語改訂版での上演だったので筆者もぜひ現地で鑑賞したかったのだがチケットが入手できずギブ・アップ。
このオペラはパリの「オペラ座」の依頼でヴェルディが1865〜66年にかけて作曲、オリジナルはフランス語による5幕ものだった。 またこの開幕公演はヨーロッパ内でテレビ中継が予定されていたがカラヤン・サイドからクレームが入り急遽テレビ中継が中止となった有名な話が残っている。 何でもこの開幕公演のキャスト、ホセ・カレーラス(ドン・カルロ)、ミッレラ・フレーニ(エリザベッタ)、ピエロ・カップチッリ(ロドリーゴ)、ニコライ・ギャーロフ(フィリッポ2世)が1976年・77年のカラヤンが指揮する「ザルツブルク音楽祭公演」のキャスト契約(?)と重なっていたとか、いないとか・・・しかし結局のところスカラ座サイドは翌年1月の公演をテレビ中継したようである。 ついでながら1978年のザルツブルク音楽祭でもカラヤンはほぼ同キャストで上演している。 カラヤンは通常の4幕版で上演した(写真2・3 1978年ザルツブルク音楽祭のパンフレットから)。 当時これはなかなか興味深い話題であった。 写真4~9は翌1979年夏にスカラ座に立ち寄った際に売店で求めた「200年記念スタンプ」が押印された縮小版記念ポスター・グッズで筆者の思い出の品である。