リヒテル・イン・パリ、1961
西側諸国ではまだ「幻のピアニスト」と云われたスヴィヤトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter/1915~1997)は1961年秋パリ・デビューを果たした。 今回紹介のLPはそのシャイヨー宮(Le Palais de Chaillot、写真1)でのリサイタル公演を収めた伝説のライブ盤である。 紹介のレコードは1964年にキング・レコードからVANGUARD STEREOLABシリーズとしてリリースされた国内盤である。 公演期日は1961年10月のみの記載だが同時期(10月6日)・同会場でのヴィトルド・ロヴィツキ指揮フランス国立放送局管弦楽団演奏会に客演、ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」を披露した記録もありこのリサイタルもその前後に開催されたと思われる。 リヒテルのレパートリーは幅広く、プログラムもハイドンの「ピアノ・ソナタ変ホ長調」、フランスでの公演でもあることからドビュッシーの前奏曲集第1巻から「雪の上の足跡」「さえぎられたセレナード」「沈める寺」「パックの踊り」が演奏されている。 またLP第二面の最後に収録されたプロコフィエフがまだ学生時代に書いた「4つの小品」から「悪魔的暗示」(アンコール曲ではないか?)も興味深い。 聴衆の拍手も収録され会場の熱気もダイレクトに伝わる名演である (写真2 LPジャケット、SH 5079/写真3 LPレーベル面)。