ロジェストヴェンスキーのシュニトケ「交響曲第1番」
旧ソヴィエト連邦を代表する作曲家「アルフレット・シュニトケ(Alfred Schnittke /1934~1998)は前回取り上げた「ジョン・ケージ」の影響も受けた前衛音楽家のひとりだった。 彼は新旧作曲様式をミックスした「多様式主義」の音楽で世界的に知られた。 とりわけ「交響曲作品」はブルックナーと同様「第0番」から最晩年の1996年から97年かけ病魔と闘いながら最後は左手だけで書いたと云われる「第3楽章」が絶筆となった未完の「第9番」までが遺されている。 今回紹介する「第1番」は1969年から72年にかけて作曲された演奏時間約65分を要する衝撃的な大曲である。 「第1楽章」冒頭からチャイムがけたたましくなり響きジャズの即興演奏も始まる。 この即興演奏でヴァイオリンを担当しているのが現在スウェーデンの「ウプサラ室内管弦楽団」の首席指揮者を務めている「パウル・マギ(Paul Mägi)」である。 またこの楽章の終結近くには「ベートーヴェン交響曲第5番」の第4楽章冒頭の旋律も鳴り響く。 そうかと思えば「第2楽章」は「バロック風」で始まりジャズやクラシック・スタイルが入り混じる。 「第3楽章」は全般的に物静かな少々不気味さも感じる楽章、「第4楽章」は演奏時間約25分、金管楽器群が印象的、ヨハン・シュトラウスのワルツやチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」らしき断片も顔を出すなどここでも大作曲家の旋律が聴こえてくる。 聴き終えるとひとつの「パロディー」を体験したような作品である。 管弦楽は当時の「ソヴィエト国立文化省交響楽団」1987年の録音である。 録音も素晴らしくステレオ効果満点(写真1 シュニトケ「交響曲第1番」ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省交響楽団CDジャケット、露メロディアMEL CD 10 02321、 2014年リリース / 写真2 演奏・録音データ / 写真3 CDレーベル面)。