ロリン・マゼールによるラヴェルの幻想歌劇「子供と魔法(呪文)」
モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel /1875~1937)がおよそ4年の歳月を費やし書き上げた幻想的歌劇「子供と魔法(L’enfant et les sortilèges)」はいたずら坊やがまわりの家具や動物たちとの霊的交流を描いた一幕オペラである。 筆者はこの作品の日本初演(1954年)も行った渡邉暁雄の指揮で東京都交響楽団第48回定期公演 (1972年12月23日東京文化会館)で、生で接した想い出がある。 舞台の照明も暗くしてスライドを併用した演奏会形式による上演だった (写真1 当時のプログラム表紙/写真2 都響第48回定期演奏曲目) 。 今回の紹介盤はロリン・マゼール&フランス国立放送管弦楽団ほかによる1960年のステレオ・セッションである。 若きマゼールのセンスが溢れ出たスタイリッシュな演奏に惹かれてしまった (写真3 LPジャケット、国内盤グラモフォン-SLGM 1020 /写真4 LPレーベル面)。 このジャケット・デザインも大変気に入っているが当時のマゼールの日本語表記が「ローリン・マーツェル」(写真5)なっているところにも時代を感じさせた。