ヴァーノン・ハンドレイのウォルトン「交響曲第1番」
イギリスの名指揮者「ヴァーノン・ハンドレイ(Vernon Handley /1930~2008)もイギリス音楽のスペシャリストだった。 筆者が彼が振る生演奏に接したのは1988年7月「読売日本交響楽団第253回定期公演」だった(写真1 ヴァーノン・ハンドレイ-第253回読売日響定期プログラム掲載写真から / 写真2 第253回定期公演プログラム表紙)。 定期公演ではベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」(ピアノ:ベルナール・ダスコリ(Bernardd’Ascoli)・エルガー「序奏とアレグロ」「変奏曲”謎”」の3曲が演奏された (写真3 第253回読売日響定期演奏曲目)。 当時彼は58歳、北アイルランドの首都「ベルファスト」に本拠を置く「アルスター管弦楽団」の首席指揮者を務めいた時代である。
今回紹介する「ウォルトン(Walton)/1902~1983」はヴォーン・ウィリアムズと並ぶイギリス近代音楽を代表する作曲家のひとりである。 この「第1番変ロ短調」はウォルトン33歳の1935年に完成した作品、イギリス楽壇の大御所だったハミルトン・ハーティ(Hamilton Harty/1879-1941)の委嘱により作曲されハーティはフィナーレの第4楽章が完成されるまで待てず先に「第1楽章」~「第3楽章」までを1934年、「ロンドン交響楽団」と初演したというエピソードも残っている。 ハンドリー指揮する「ロイヤル・リヴァプール・フィル」との「第1番」はCDに録音年月の記載はないがおそらく1970年代後期の録音と思われる。 スペシャリスト、ハンドレイならではのスケール感ある演奏を聴かせている。 またCD余白に収録された同じくウオルトンの「スピットファイヤー 前奏曲とフーガ」(スチュアート・ベッドフォード指揮イギリス室内管弦楽団)は彼自身作曲の映画音楽「スピットファイヤー(1942)」からコンサート用に編曲されたものである。 ちなみにこのCDレーベル「ASV(Academy Sound and Vision)はこのCDがリリースされた1990年代、イギリス老舗の廉価盤レーベルだったことも懐かしく思いだされる (写真4 ウォルトン「交響曲第1番ほか」CDジャケット-ASV CD QS6093 / 写真5 CD収録作品、ジャケット裏面)。