名匠パウル・クレツキによるチャイコフスキーの悲愴
名匠パウル・クレツキ(Paul Kletzki/1900~1973、写真1)の初来日は1963年の日本フィル客演だったと思う。 筆者が彼の指揮を初めて生で聴いたのはスイス・ロマンド管弦楽団初来日公演だった (1968年6月23日東京文化会館)。 この時のメイン・プログラムはムソルグスキー (ラヴェル編曲)組曲「展覧会の絵」であった。 彼の指揮ぶりに派手さはないが終曲の「キエフの大門」では底からこみ上げてくる深い味わいを感じた。
今回の紹介盤は彼のフィルハーモニア管弦楽団との代表的録音のひとつチャイコフスキー「交響曲第6番”悲愴」である。 1960年4月ロンドンのアビー・ロード・スタジオでのステレオ・セッションである。 紹介LPは1960年代初頭に東芝エンジェル交響曲名曲集として3枚組LPボックスとしてリリースされた中の1枚である。 ちなみにこのボックスにはこのほかアンドレ・クリュイタンス&ベルリン・フィルベートーヴェン「交響曲第5番ハ短調作品67」、シューベルト「交響曲第8番(第7番)ロ短調”未完成”」、ルドルフ・ケンペ&ベルリン・フィル「交響曲第9番ホ短調”新世界から”」(このLPはまだ「第5番」表記)が収められていた (写真2 「東芝エンジェル交響曲名曲集」3LP BOX-ASC 5150 ~52/写真3 LPレーベル面)。