小澤征爾&新日本フィル第240回定期公演を聴く、1996

〜1996年6月11日、東京文化会館にて〜

小澤征爾が振る「新日本フィルハーモニー交響楽団・第240回定期公演」は筆者の興味をそそるプログラムが2曲並んでいた。 それは米国出身異色の現代音楽作曲家チャールズ・アイヴズ(1874-1954)の「交響曲第4番」とチャイコフスキー「マンフレッド交響曲」である。 どちらの作品もそれほど頻繁にコンサートで聴く機会がない。 しかも2曲とも小澤にとって今回が日本初演とのことであった(写真1   新日本フィル第240回定期公演チラシ)。 公演は6月10日(オーチャード・ホール)と11日(東京文化会館)の2日に渡り開催されたが筆者は後者11日の演奏を聴いた(写真2  公演プログラム表紙)。 プログラム前半に演奏されたアイヴズの「交響曲第4番」は彼の最後の交響曲となった作品で規模も複雑で2群の管弦楽に混声合唱、独奏ピアノ等々が加わる大編成、時には2人の指揮者が必要となる難曲である。 小澤はこの作品を1976年に「ボストン交響楽団」と「ドイツ・グラモフォン」に録音済みでこれは名盤として誉れも高い(写真3  小澤征爾&ボストン響「アイヴズ交響曲第4番」&「夕暮れのセントラル・パーク」国内盤LPジャケット)。 今回の演奏も小澤の巧みな振りでこの異色の交響曲を見事にさばいていたのが印象的だった。 休憩後に演奏された「マンフレッド交響曲」はバイロンの劇詩「マンフレッド」によるチャイコフスキー唯一の標題交響曲である。 チャイコフスキーを得意とする小澤だがこの作品はまだ未録音、どんな演奏になるか楽しみにしていた。 やはりズッシリ、スケール感もあり小澤の意気込みも感じた演奏だった。 特に第4楽章フィナーレは圧倒された(写真4  第240回定期演奏目)。 写真5は公演終了後、小澤氏にプログラムに日付入りでもらったサインである。

写真1    第240回 新日本フィル 定期公演チラシ

写真2    新日本フィル 第240回定期公演 プログラム表紙

写真3    小澤征爾&ボストン響 /アイヴズ交響曲第4番・夕暮れのセントラル パーク/ DG国内盤LPジャケット

写真4    新日本フィル 第240回定期演奏曲目

写真5    小澤氏に公演終了後プログラムに日付入りで入れてもらったサイン