忘れ得ぬヴァイオリニスト「ボロニスワフ・ギンペル」
今回は学生時代に廉価盤LPなどでよく聴きいた忘れ得ぬヴァイオリニストのひとりボロニスワフ・ギンペル(Bronislaw Gimpel/1911~1979、写真1、ボロニスラフと表記されることもある)を取り上げてみたい。彼は現在のウクライナ出身で14歳の時にウィーン・フィルと共演、神童と云われた人である。 1930年代に渡米してロス・フィルのコンサート・マスターも務めた。 筆者は記憶がないが当時結成したワルシャワ五重奏団のヴァイオリン奏者として1964年に一度来日したそうである。 筆者が初めて彼のレコードに接したのはちょうど半世紀前の1970年にキング・レコードからリリースされた廉価盤「世界の名曲1000シリーズ」の1枚ブラームス「ヴァイオリン協奏曲」だった (写真2 「世界の名曲1000シリーズ」LPジャケット、キングGT1005)。 これは以前にも紹介した長時間お徳用LP、ちなみに第一面にはフランツ・コンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管弦楽団のブラームス交響曲第1番(演奏時間約48分)が収められている。 このギンペルが弾くブラームスのヴァイオリン協奏曲(アルトゥール・グル―バー指揮ベルリン交響楽団)の第1楽章カデンツァが一般的なヨアヒム版ではなくクライスラー版を弾いているのもとても新鮮だった。 そして彼の艶やかなヴァイオリンの響きに吸い込まれた。 また写真3は2007年に世界初CD化されたブルッフとメンデルゾーンのヴァイオリン協奏曲が収められたCDである。 ブルッフは先のグル―バー&ベルリン交響楽団との演奏、メンデルソゾーンのバックはヨハネス・シュ―ラー指揮&バンベルク交響楽団である。 これはすべて1960年代のオリジナル・ステレオ録音であることも素晴らしい。 原盤はすべて独オイロディスクである。 尚、ベルリン交響楽団は当時東側に同名のオーケストラが存在したがこちらは1960年に新しく組織された団体である (写真4 CD演奏・録音データ)。