日本の現代音楽アルバム – 1
〜 三宅榛名・福島和夫・丹波 明 フルート作品集 〜
1980年(昭和55年)は日本の現代音楽シリーズ・レコードも数多くリリースされた年だった。 今回はキング・レコードから当時廉価盤として再リリースされた「現代日本の音楽名盤シリーズ」から三宅榛名・福島和夫・丹波 明のフルート作品集を紹介したい。 フルート・ソロは当時NHK交響楽団の首席フルート奏者小出信也が共演している。 1970年~71年のキング・レコード-第1スタジオにおけるセッションである。 三宅榛名はジュリアード音楽院出身、彼女は作曲家・ピアニストで海外の現代音楽祭でも活躍している。 収録曲「ピッコロ・フルート、フルートとギターのための音楽」(1967)は5分余りの前衛的な小品だがフルートとギターの鋭角的な響きが面白い。 また「銀河鉄道の幻想」(1970)はタイトルからして宮沢賢治の世界を彷彿させるが作品には直接その関連性はないようである。 「エカーグラ(EKAGRA) 」(1958)は梵語で「集中」を意味するとのことだが「冥(めい)」(1962)と共に福島和夫の代表作である。 レコード第2面後半に収録された丹波 明の「フルートと弦楽オーケストラのための室内楽」(1962)は単一楽章のフルート協奏曲である。 これは指揮の若杉 弘と小出信也による日本初録音にもなったようだ (写真1 LPジャケット、キングGT-9328 / 写真 LPレーベル面)。