日本の現代音楽アルバム-2
〜 團 伊玖磨 「交響曲第3番」・松村禎三 「クリプトガム」 〜
前回に続き日本の現代音楽アルバムからもう1枚紹介したい。 今回のアルバムは團 伊玖磨(1924~2001、写真1 左)「交響曲第3番」と松村禎三(1929~2007、写真1 右)「クリプトガム」がカップリングされている。 すでに團 伊玖磨の交響曲については以前「漫遊記128」で取り上げているが今回は自身の指揮で読売日本交響楽団と録音した「第3番」(1971年6月録音)である。 この作品は彼が1959年末から翌1960年にかけ歌劇「夕鶴」の米国初演のため渡米した際ニューヨークで着想され帰国後完成したニ楽章構成の交響曲である。 演奏時間およそ25分、これまでの旋律的、抒情性から離れた新しいスタイルが展開される。
LP第2面に収録された松村禎三「クリプトガム(CRYPTOGAME)」(1958)はクラヴァイオリン(電気鍵盤楽器)やミュージカル・ソー(音楽用のこぎり)も加わるユニークで不思議な作品である。 全四楽章構成だが続けて演奏され演奏時間はおよそ15分、タイトルの「クリプトガム」の原語はフランス語「Cryptogame」で「隠花植物」(花や種子を生じない胞子で繁殖する植物・菌類の総称)を意味するようだ。 演奏は荒谷俊治指揮日本フィルハーモニー室内楽団、1969年8月世田谷公会堂でのセッションである (写真2 LPジャケット、キング-SEVEN SEAS-K15C-9498、1985年リリース / 写真3 LPレーベル面)。